よくもう年末とか、一年があっという間に過ぎたとか、光陰矢の如しとか言うけれど、今の僕の場合、時間という感覚、概念、観念を失ってしまったので、この一年というもの、物凄く長く感じるのであった。考えてみればバンドを再開して一回目の練習をやった一月なんて、もうホントに遠い遠い昔に思える。まあ今年はホントにいろんなことがあったのだけれど、なにしろ期間という感覚がまったく分からないので、なんというか、この一年がひとつの人生みたいな風にも思える。バンドの練習、I泉さんとの毎晩の長電話、彼女の入院、医療ミス、うつの悪化、掲示板事件、そして気がつくと結婚という、なんか出鱈目なジャンルをごった煮にした短編集のような一年だった。時間を失ってしまったので、申し訳ないんだけどtakさんと知り合ったのが今年なのか去年なのか分からない。zentaさんとはたぶん今年だと思う。かろうじてソレダドさんとは最近、というのは分かるんだけど。それなりに出会いというものもあったのだ。有難いことである。今年はホントに親と電話で話をした。I泉さんに至っては、話してない日がほとんどないぐらいである。ああそうだ、I泉さんが僕の弟子になったのも今年だ。なんか人の人生を踏み外させたようで申し訳ないような気もするが。先日、いつものようにI泉さんと電話で話していて、切るときにI泉さんが「失礼しまーす」なんて言ったので酷くびっくりした。いくら弟子とはいえ、9歳も年上で大学の先輩でもある人にそんな風に言われると、ただただ恐縮するばかりである。もうI泉さんと知り合って22年にもなるけれど、僕が病気になって、今年になってからまた改めて僕らの付き合いが始まった気がする。本当の友だちというのは、本当に有難いものだと思う。僕がどれだけ救われたか、感謝のしようがない。一月、久々に会ったバンドの連中は、ヤマザキを除けばみんな老けておっさんになっていて、僕はちょっとびっくりした。なんか、僕だけが中途半端な気がした。考えてみれば結局2回しか練習せず、最後に練習してからもう、えーと、7ヶ月も経っている。また練習出来るだろうか。というか、僕はまたギターを手にすることが出来るのだろうか。
彼女が入院していた41日間の間、僕は毎晩疲労困憊の極みで彼女のマンションに行き、猫に餌をやってトイレの掃除をして、まさに「生ける屍」のように虚脱してソファで煙草を吸ったものだ。毎日が全力疾走で、それもとうに足が攣っているような状態だった。いろんな奴と喧嘩した。整形外科医、病院という不可解な組織、精神科医、掲示板に集まるカルト的集団、3万人という巨大な群集。我ながら無茶するなあ。どうりで疲れるわけである。
来年がどんな年になるかなんて僕の知ったこっちゃない。なにしろ、僕は記憶にないのではなくて、記憶がないのだから。先のことなんて想像すら出来ない。僕にとっては、時間はまるで静止しているように思える。ただ時計の数字だけが変わるだけで。時間が加速するどころか、夜ともなれば時間は微動だにしないように思える。だから、来年どころか明日すらいつやってくるのか気が遠くなるほどだ。まあでも、放っておいても明日はやってくるし、来年はやってくる。世界はそういう風に出来ている。僕はただ、生きるだけだ。
あらゆる人に感謝。
written on 29th, dec, 2007