99年10月10日(日)
今日は日曜日でしかも祭日だ。最近の日曜日は、家で洗濯やら掃除やらをしながら、その合間にグリーンチャンネルでたまたま次のレースのパドック中継をやっていると、そのレースを100円単位で(笑)PAT(電話投票の端末版)で買う、という様なのどかな過ごし方をしている。一年以上競馬をやっていなかったし、データの更新もその分まるまる貯めてしまっているので、馬券を買うようになったのは久しぶりだが、パドックだけ見て買う、というのは大昔に大井競馬場あたりでよくやっていたのだが、これが案外イケる。ただし、間隔が開いてしまったために知らない馬がやたら増えたせいで、能力がわからない馬が出ていると辛いが。そんなこともあって、単複はともかく、連勝はちと辛い。
そんな感じで過ごしていると、3時過ぎにピンポーンと鳴ったので出てみると、これがなんとNHKの集金。いままで逃げ回ってきたのだが、今日はさすがにごまかしきれなかった。まったく、一日家にいるとロクなことは無い。ちなみに僕の叔父はNHKで結構出世しているらしい。
そんなこともあり、洗濯していて漂白剤が切れていたこともあって、買い物と散歩がてら隣街方面に出かけてみることに。パジャマも欲しいなあ、などと思いながらなんとなく歩いて行き、途中にあるリサイクルショップやら民芸品の店やらを覗きながら隣の駅に近づくと、なんと向こうからみこしがやってくるではないか。今日は祭りの日だったのか。みこしとの正面衝突を避けるために脇道に入ると、隣街のパチンコ屋のある通りに出た。この街には2軒のパチンコ屋があって、うち一軒は昔つきあっていた彼女とよく来た店である。そう言えば、以前ちょっと覗いたときにホー助が一回交換ながら寄り釘を強引に曲げてたのを思い出し、たまには遊びで打ってみようと店に入る。見てみると、一見甘釘ながら微妙に差をつけている。もうちょっとよかったような気がしたんだがな、と思いながらよさそうなのを2台ほど打ってみるが、ケも無し。4000発定量の玉ちゃんとかもあったので、打てそうなのを選んで打ってみるが、玉ツキがどうしようもなくひどい。やたら鳴くのに、ちょうど羽根が拾うタイミングで玉ツキを起こす。やれやれ。結局、気が付くと9000円も使ってしまっていた。それにしても、この街は高級住宅街として知られており、僕が知る限りでもジーコとか、反町とか、以前担当していた女性シンガーソングライターとか、若手のアレンジャーとかが住んでいるのだが、何故かパチンコ屋の客層はガラが悪い。近くにセコいヤクザの事務所でもあるのだろうか...。
店を出て帰りかけたが、ついでに向かい側のもう一軒も冷やかしで見て行くことに。この店は見てくれこそ小奇麗だが、いつもガラガラで、いまどき2000個定量の普通機(いわゆるチューリップ台)や羽根モノが一番人気で、それを爺さん婆さんの常連が打っている、というような店である。何しろ、前述の彼女が、人がいなくて恐い、と逃げ帰ったような店なのだ。そんな店なので、珍古台というか、アナクロな台も結構置いてある。入ってみると、新台を入れたばかりらしく、珍しく客が少しはいる。とは言うものの、新台のシマ以外は例によってガラガラである。なんとなく現金機のシマとかをぶらぶらして、京楽のスーパーラグーンとか言うよくわからん時短機とマルホンの怪作ファンキードクターを交互に置いてあるシマを見てみると、ファンキードクターに一台打てそうな台がある。大体、いまどきこんな台が置いてあること自体が不思議だが、昔この台を打ったときはそれこそゲージだの釘だのという意識がこれっぽっちもなかったころなので、改めて見るとこんなゲージだったのね、という感じだ。スルーも特にシメられている気配は無いし、試しにちょこっとだけ打ってみよう。頃合いはもう日も翳った6時に近い頃。
二千円だけ両替機に入れると、たまげたことに全部100円玉でジャラジャラと出てきた。...まだこんなものがあったのか。ひとまずどれぐらい回るかと500円分の玉を打っていると、いきなり当たった。まあ、バカみたいな確率の台なので当たり前だ。これが何故かよく回る。当然の如く悪魔しか出てこないが、それでもボコボコに当たっているわけでもないのに玉が増える。面白いので数えてみると、1000円分で40回回ってた。ふと玉貸のサンドを見ると、100円が戻っていたので400円で延々と遊べてるぞ。しかし、この台楽しいな。残念なのは音が出ないので、あのアナクロな音楽が聴けないところ。
ところでこのファンキー・ドクターのスペックだが、えーと、実は僕もうろ覚えだったので古い資料を引っ張り出すと...確率が53分の1で出玉が約300個、大当たり終了後に15分の1で天使が出ると、15分の14の継続率の時短に入る、という羽根モノも真っ青のヘンな機種である。
ひとまず当たりを数えていると、7時過ぎの14回目の当たりで、田山さん風に言えば、炎の中から天使が現れた!懐かしいなあ...昔打ったときは一度出ただけで、それも時短中にボコボコに減った上に8回ぐらいで終わっちゃったんだったなあ...。などと感慨にふけりながら、今日はどれぐらい続いてくれるのかな、と思ったのだが、こんなもの面倒くさくて回数など数えてられる訳が無い。この店は手を離しても玉が飛ぶので、こうなるとホントに気楽なパチンコである。延々時短が続いているしヒマなので、打ちっぱなしにして店内をなんとなく見て歩くと、パープルアイスとかも一丁前に入っている。しかし、CRとか見ても、2分の1にも満たないラッキーナンバー制で、それは酷い釘である。こりゃあボッたくってるなあ、などと思いながら、そう言えばこの店の換金率を知らないことに気付いた。向かいの店が2.5円なので、大差無いとは思うのだが。大体、都内のように様々な換金率が入り乱れているところで、高換金率の店以外はほとんど換金率を明示していないと言うのは、ちょっとおかしい。まあ、換金の合法化云々、という問題があるのは分かるが、客の立場で考えるとね...。
見渡すと、どうやらこの店の主な客層は、例の爺さん婆さんと、近くの学生連中のようだ。彼らには知る由も無い。たまたま場末の喫茶店を見つけ、おっ、こんな純喫茶がまだ残っていたのか、どれどれ、などと席につき、何故かメニューは無く、煮詰まったコーヒーを安っぽい椅子にもたれて飲んで、おお、今日はちょっと懐かしかったぞ、などと思いながらレジで500円玉を出そうとすると、「2000円頂きます」と言われるような店にいることを...。などとアホなことを考えながら、これは瓢箪からコマだな、しかしこんな店でいつものスタイルで打とうものなら浮きまくるぞ、大体裸足で逃げ出すよな、こんな店、と考えて、ここは「おお、何だか知らないけど時短引いちゃったぞ、たまたま座った台で」作戦を敢行することにした。すなわち、やおらガラガラのシマでだらしなく脚を組み、たまに灰皿の掃除に店員が来ようものなら、意味無く口を半開きにしたり、あーあ、退屈だなあ、いつまで続くのかなあ的なポーズを取る。決して、おおこれは40回も回るアホみたいな台だから期待値がこれこれで、ラウンド間の止め打ちやら無駄玉を極力減らせば云々、シメシメ、こんなもん出て当然なのだ的な雰囲気を見せないことである。
そんな演技に身を委ねながら、ひたすらぼーっとしていると、後10分で10時になろうかというときに、突如照明が半分消えて、10時で閉店でございます、と言うアナウンスが。なんだ、いまどき10時で終わるのか、せっかく何年振りかでこんなヘンテコな台で時短を引いたと言うのに。かくして、時短中のまま出玉を流す。結局1万200個ちょっとだから、30何連チャンぐらいはしたのだろう。両替してみると、どうやら2.325円ぐらいである。げっ、これであの釘かよ、などとゲッソリしながら、余り玉で漂白剤を取ろうとしたら1個足りない。しょうがないので煙草に換えると、1個だけしか交換できないと言うではないか。ゆ、許せん。天が許してもわしが許さん、などと桃太郎侍のようなことを考えながらも、こんな訳の分からん場末のボッタクリ店から無事勝って店を出ることができたのだった。
とうに祭りも終わって人通りも絶えた道を、僕はとぼとぼと歩いて帰った。
本日の収支 +14,000