crossroards

「岐路」

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毎年大晦日に更新しているので、なにか書こうとは思っているのだが、今年はいったいどういう年であったのだろうか?

まず、途中まではいつもどおり、総じて平穏無事な日々が続いた。三年目ともなると、すっかり真っ当な社会人として馴染んでいると自分でも思っていた。それが秋も深まるころになって急展開、気がつくとあっという間に元の無所属人間になっていたのだった。いったいなにがどうしたというのか? 実際のところ、自分でもどうして会社を辞めることになったのかよく分かっていない。冷静に考えれば考えるほどよく分からない。ただ、当時は考えれば考えるほど自分も周囲も相譲れない、袋小路のようなところに入り込んだような気がしていたものだ。考えれば考えるほど、辞めざるを得ない気がした。一段落ついて、いざかつての部下に説明しようとすると、これがどうも判然としなくなる。どこにも確たる理由があるように思えないのだ。したがって、未だに謎である。僕は何故会社を辞めざるを得なかったか?

今となっては、僕に退職を依願した上司すら、説明がつかないだろう。これはちょうど、山間を流れる川の源流が、ちょうど流れを二分するところに行き当たり、自然に流れが分かれるようなものだった。恐らくごく自然に、しかも実は当然のように流れるべき方に流れたのだろう。そもそも上流を流れていた段階から、この流れは決まっていたかのように。

先日、今回辞めた会社と、以前に在籍していた会社の連中を集めて、忘年会を開いた。その席で僕がこんなことを口にした。「オレは人生の岐路に立っているわけだからさ……」すると、以前の会社の部下がすかさず言った。「いつも岐路ばっかりじゃないですか」そうなのだよ。僕の人生、いつもいつも、岐路ばっかりなのだった。だから来年もどこに岐路があるか分かったものじゃない。一寸先は闇、よりも光が見えることを祈って。

written on 31st, dec, 2004

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