A Taste of Honey

昨日からNetflixのオリジナルドラマ「ナルコス」を見始めたのだが、その1話のボウリングのシーンで懐かしい曲がかかった。あーこれは何だっけと思うものの名前が出て来ない。曲名に確かブギウギがつくはずだと「Boogie Oogie」でググってようやく思い出した。テイスト・オブ・ハニーだった。

1979年、僕らは二十歳だった。その夏、ヨウタロウの知り合いが経営する長野県の黒姫高原のペンションに居候して、野尻湖の外人村のパーティーで僕らは演奏することになっていた。僕のバンドではなく、ヨウタロウ(僕のバンドではベースだがそのときはキーボード)と彼の鎌倉高校の同級生のイトウ君(ドラム)、同じく後輩のココマ君(ベース)という組み合わせで、この「今夜はブギ・ウギ・ウギ(Boogie Oogie Oogie)」はやっぱりヨウタロウの同級生であるレミが歌うことになっていた。そう、僕が生まれて初めてキスをしたあのレミである。結局レミはパーティーに間に合わず、僕らはこの曲を歌なしで演奏した。そして僕はまだ童貞だった。この夏までは。

レミは歌わなかったものの、どのみち僕らは出会う運命だったのだ。レミは遅れてやってきて、そしてやがて居候はみんな帰って僕とレミの二人だけになった。僕らは当たり前のように恋に落ちて、当たり前のようにペンションの裏手の山道でキスをした。すべてがかげろうで揺らいでいるような暑い夏の日だった。生まれて初めてのキスは蜜の味ではなくて煙草の味がした。

僕は狂おしいほど彼女に恋をした。物凄く暑い夏だった。黒姫から帰って、僕は黄色いTシャツを着て飯田橋で絵本の飛び込み営業のアルバイトをひたすらやった。その間中、頭の中はレミのことでくらくらしていた。まったく、なんて夏だったのだろう。夏が終わるころに僕らは再会し、高円寺から徒歩5分の四畳半の薄暗いアパートで僕はレミを抱いた。なんだか本当に、すべてが眩しいほど輝いていた1979年の夏。

カテゴリー: 未分類 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。