何はともあれ、僕は邦画が好きなのだ。
クライだなんだと言う向きも多いが、お前らほんとに邦画見てるのかー、といいたい。だっておもしろいんだもーん。要するに僕はリアリズムが好きなのだ。だから、一昔前の暗い映画の代名詞ATGの映画や、ドキュメンタリー映画は大好きなのだ。うーん、やっぱり暗いのか。インテリジェントということにしてくれ。
最近一番気に入っている監督が原田真人なのだ。だっておもしろいんだもーん。彼のいいところはクールでユーモアがあるところ。基本的にはスタイリッシュで、洗練されたエンタテインメントになっている。わかりやすくいうと北野武の映画に通じるクールさがある。ちょっと誉め過ぎかも知れないが、実のところ大ムラがある監督で、スベるときは思い切りスベる。
とっかかりは劇場用の映画ではなくて、ビデオのシリーズの「タフ」だった。とにかく木村一八がいい味出している。これみるまでは、タクシーの運転手を酔っ払ってボコボコにしたり、強烈な親父を持ってたりするので、単なるアンチャンというイメージが強く、好きな役者ではなかったが、この作品(もしかして芸能界復帰第一弾作品かも)以降、彼を役者として見直した。最近いろんなところで見かけるようになった矢島健一も強力にクールな役どころで味を出している。ストーリーとしては、冷静に考えると無茶苦茶なはなしで、要するに劇画そのまんまなんだけど、おもしろいからいいんだもーん。男はこういうストーリーが好きなのだ。単純にかっこいいから。このシリーズは4作品あり、おまけで番外編(編集+αでつくってある)と、続編のかたちで劇場版(撮りおろし)の「ペインテッドデザート」がある。この番外編と劇場版はスベったものの代表でもある..どちらもアメリカを舞台にしたのが無理があったか..スピード感ないし。
これ以降彼の作品を積極的に見るようになって、遡ったところではまず「ガンヘッド」。SFなんだけどスベったくち。高嶋政伸という思いっきり濃いキャラクターを使ってしまったのと、スピード感がありすぎて疲れる。これもはなしは漫画なんだけど、それなりには楽しめる。
次に「さらば愛しき人よ」。これはおもしろいよ。主演郷ひろみ(!)、ヒロイン石原真理子(!)、ヒットマン役で嶋大輔(!!)という、まあアイドル映画のグレードアップ版なんだけど(プロダクション制作なのでしょうがないか)、その後に通じるスタイリッシュでクールな味が出ている。特にヒットマン役の嶋大輔が意外にいい味出している。ストーリーはやっぱり劇画なんだけどね..
「タフ」が通受けしてからアメリカで作った「栄光と狂気」。オールカナダロケでまるっきり洋画のスタイルでつくったヨット青春映画なんだけど、これが最大の大コケ。まあ、このころ衛星放送で野茂の試合のゲスト解説なんかしてたしなあ..力が入り過ぎた感じだ。多分にプロデュースの奥山和由の影響かも知れん。
この後が真骨頂。僕が一番好きな「KAMIKAZE TAXI」。いつの間にか一世を風靡してしまった役所広司主演。最近売れ過ぎてとやかくいう奴も増えたが、もともと好きな役者である。自分が前に似ていると言われたこともあるし..とにかくべルーから来た日系人役の役所が抜群にいい。高橋和也とミッキー・カーチスの切れた演技もばっちり。難点は長いこと(確かにtoo muchなシーンも多いが..)。でもおもしろいからいいんだもーん。
そして最新作の「バウンス koGALS」。これでまたひと皮むけた感じだ。ここでも役所がヤクザでいい味。どっかで見たような女子高生多数。これは漫画よりリアリティあるな。
まだひとつも見ていないひとがいたら、「KAMIKAZE TAXI」あたりから見るのがおすすめ。それぞれの役者に対して先入観を持っているひとも騙されたと思ってみてみよう。いい味だしてるから。
こうして彼の作品をならべてみると、要するに全部ハードボイルドで劇画だな..。いいのだ。おもしろけりゃいいのだ。男は劇画が好きなのだ。まあ、女の子には受けないかもしれんな..