my favorite things vol.9

「こわい話」

全然関係無いが僕の田舎の山形では「こわい」というのは「疲れた」という意味。

このところの僕は世間の人たちに申し訳がないくらいに暇そうな生活(笑)なのだが、実は時間がいくらあっても足りない。何故かというと読みたい本が山のようにあるのだ。考えてみると、子供のころから本屋に入り浸りだ。僕の田舎は山形の小さな町で、子供の頃は町に本屋が2軒しかなかった。そのうちのまともな方の本屋は僕の同級生の女の子のうちで、その本屋に毎日のように入り浸っていた。ご多分に漏れず僕も本屋に入ると便意を催す(特に大。笑)方なのだが、それはともかく当時唯一裸の男女が絡み合う写真の載っていた「HOW TO SEX」という素晴らしいタイトルの本を、こっそりカバーを入れ替えて文字通り立ち読みしてたりしたものだ。

いまは主に大正時代の探偵小説のアンソロジーを読んでいる最中。その前に読み終わったのはアイラ・レヴィンの「ローズマリーの赤ちゃん」。60年代のものすごく有名なホラーなのだが、もちろんミア・ファロー主演の映画も見たし、昔一度読んだような気もする。たまたまディーン・R・クーンツの本で強力に薦めていたので、もう一度読んでみた。抜群のおもしろさ。結末の好き嫌いは別として、隙の無い恐怖小説とはこのことだ。まさに恐怖が降り積もる、という感じ。読んでいる間は至福のときでした。

ホラーといえば、このあいだも書いたようにここのところホラーがブームになっているが、こわい話というのはいつ何時でも場が盛り上がるものである。むかし長期のレコーディング中のダレた時間にこわい話をしてよく盛り上がったものである。よく誰が一番怖いものを見たかという話で盛り上がったりした。

いわゆる恐怖には大きく二種類あって、ひとつは現実に自分が身の危険にさらされる恐怖、もうひとつは生理的・感覚的に感じる恐怖。僕が映画で本当に怖いと思った映画は、いわゆるホラーとかスプラッターではなくて、「ディア・ハンター」とか「キリング・フィールド」という戦争映画だったりする。特に後者は実話なので、入り込めば実にこわい話である。くしくも両方ともベトナム戦争を題材にした映画だが、僕にとっては死の恐怖を疑似体験する映画と言っていい。つまり身の危険を感じる恐怖だ。この類の話としては、学生時代の後輩が卒業旅行でオーストリアの警察に拳銃を頭に突き付けられて地下室で尋問された話、ロスの友達が住んでいるアパートで麻薬の取り締まりがあって、いきなりSWATが自宅に完全武装で飛び込んで来て大男2・3人にうつぶせにされてショットガンを突き付けられた話などがある。特に後者は、相手も恐怖でショットガンがぶるぶる震えていたそうで、これなどは本当に怖い。

もう一つの生理的・感覚的に怖い話。以前付き合っていた人妻から聞いた話だが、彼女が高校生の頃、理科の先生が眼底(目の奥)に腫瘍かなんかが出来た。それで手術することになった。一応局所麻酔はして手術は始まったのだが、この手術が眼球を取り出して行なったらしい。眼球をはずしたということは、目のつぶりようが無い。それで彼は自分の目で目玉を取り外した自分を見る羽目になった...。オレなら気絶するな...。

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