horse is horse vol.4

「競馬 イン・アメリカ」

Racingform公開はまだ先になりそうだ...

ちょっと古い話になってしまうが、アメリカで競馬をやったときの話。

いまから6年くらい前までは仕事(レコーディング)で毎年アメリカ(ほとんどロスアンジェルス)にいっていたのだが、ここ5年ぐらいアメリカに行っていないので、当時の話である。

御存じの方も多いと思うが、アメリカには競馬場が無茶苦茶いっぱいあって、たとえばロス周辺だったら毎日どっかしら近辺で競馬が開催されている。いちばん有名で権威もある競馬新聞が「Daily Racingform」で、名前の通り毎日発行されている。日本の競馬新聞とは違ってどことなくアカデミックにみえる。調教タイムとかももちろんちゃんと載っていて、べイヤーのスピードインデックス(「競馬事始」参照)も全部載っている(アメリカの競馬新聞では常識)。違うのはレースタイムが勝ち馬のタイムしか載っていないことと、着差・上がりのタイムが載っていないこと。その辺のデータは日本の方が圧倒的に詳しい。

さて、当時僕はこのDaily Racingformを毎日ニューススタンドで買ってはスタジオで見ていたのだが、ある日とうとう意を決して近くのハリウッドパーク競馬場にひとりで行ってみることにした。ハリウッドパークは空港の近くで、例の暴動が起きたあたりで治安のよくない地域にある。とりあえずどきどきしながらもなんとか車でたどり着き、入り口でレースプログラムを買って中に入った。その日はラッキーなことにG1のある日だったが、確か平日ということもあり、スタンドは空いていた。コース上をカモメが飛び交うのを見ながらスタンドに座ってレースプログラムを見て予想を始めた。予想材料がこれしかないのでもう当てずっぽうである。いちおう各馬の過去の成績も載っているので、見ると日本と同じ様な書き方なのでこれを参考にして馬券を買うことにした。レースの開始は昼過ぎで、馬券の種類は当時からやたら多く、一番強力なのは6レースの勝ち馬をすべて当てるピックシックスという奴。これは的中者がひとりもいなかったら次に賭け金が持ち越されるので、とんでもないオッズになる。無難なところで日本と同じ単勝と複勝(2着までを当てるPLACEと日本と同じ3着までのSHOWの2種類ある)、連勝複式で買うことにした。馬券売場は基本的には日本とほとんど同じ。日本と同じ感覚で5ドルとか10ドル、ちょっとがんばって20ドルという単位で買っていたが、まわりの客は2ドル単位で買う人がほとんどで、どちらかというとギャンブルというよりレジャー感覚の方が強く感じられる。

買ってはみたものの、なかなか当らない。ようやくひとつのレースでWINが当り、払戻を受けようと思って場所を探したが全然見当たらない。その辺の客に聞いてみると、売り場が払い戻しを兼ねているということが判明。無事40ドルばかしを手に入れる。メインレースはレース名を忘れたがハンディキャップレースのG1で、のちにジャパンカップにも出場して(5着)種牡馬にもなったアルワウーシュが出ていたのを覚えている。もちろんハズした。

結局ほとんどオケラになってしまったのだが、スタジオに戻ってレースプログラムの最初の方を読んでみると、成績欄の見方を間違えていた。馬名のとなりに12−10−5−9と書いてあるのを、日本式に1着12回、2着10回、3着5回、4着以下9回と読んでいたのだが、レースプログラムの解説を見ると単に前4走の着順を並べて書いてあるだけだったのだ。要するにこの馬は過去4走とも着外だったのだ。こんな馬を強いと思って馬券を買っていたわけで、どうりで当らない訳だ...みなさんも気をつけましょう。特にマニュアルを読まないクセのあるひとは...

ちなみにこの日はのちにジャパンカップやワールドジョッキーシリーズで来日したゲイリー・スティーヴンスが無茶苦茶勝ちまくっていた...素直に乗りゃあよかった。

アメリカといえばもうひとつ思い出したけど、PAT(電話投票の端末版)に当選した直後、ロスの友達の家からユーセイフェアリーが勝ったG3かなんかの関西のメインレースを買おうとして、投票ソフトの電話番号の入力が一桁足りなくて買えなかった。御想像通り、こういうときに限って当っている。しかも配当が190倍...怒り心頭に達した僕は、日本に戻るとすぐにJRAに電話をして文句をいった。
「なんで一桁足りないんだ!」
「すみません、そういうクレームは初めてなもので...」
かくして、僕は日本ではじめて海外からPATで馬券が買えなかったとクレームをつけた人間になったのでした...アホ。

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