love in vain

最低の男

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だいぶ前の話だが、最近のようにポツポツといろんな人からメールをもらうようになる以前、堪らなく寂しくなったときがあった。インスタントでも刹那でもいいから、セックスがしたいとか、恋愛に似たものが欲しいと思ったりした。そんなときの僕は最低の男である。そもそも時間の経過と言う概念に欠けている。古いアドレス帳を持ち出して、昔つきあった女の子に一人ずつ電話をかけてみる。「...この電話は現在使われておりません...」ツー・ツー・ツー。「もしもし(男の声)」「間違えました」ガチャリ。それでも呼び出し音が鳴るとそれなりにドキドキしたりする。トゥルルルル、トゥルルルルル...。「もしもし」確かに聞き覚えのある声。その昔僕がこっぴどく捨てた女の子である。「もしもし、XXさんのお宅ですか?」「...違います」

やはり、最低の男というものは、声を聞いただけでわかるのである。

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