僕がどうしても理解できないのは、恋には正しい順番があると言い張る女の子である。つまり、会ったその日に寝るのは自分を安売りすることだ、などと云う類の人。そういう人に限ってセックスに「安い」とか「売る」とかの冠詞を付けて自分が喋っていることに気がつかない。彼女らが決まって云うのは、今日はまだ会って何日目だからダメ、とかここまで、とか。じゃあ、何回目ならキスはOKで、何回目から次に進めるのだ?なんかこれではスタンプが10個溜まったら差し上げます、と云うのと変わらないじゃんか。キスはスタンプ5個、ネッキングは10個、20個たまったらさあお待ちかねのセックスを差し上げます...セックスはハワイ旅行か?
同じようなことで、わたしはまだあなたのことを知らないから、と云うのもどうも納得が行かない。全部知ってから、その上で合格が出たら好きになるのか?これも教習所でスタンプもらうようなものじゃんか。そう云う人に限って、恋人募集の掲示板とかであれやこれややたらと注文を付けたがるはず。背は175cm以上、1cmも譲りませんとか、できたら車持ってて、できたら年収多い方がよくって、できたらお酒も好きでスキーもできて、海外にも詳しくて映画も好きで包容力があって優しくてユーモアがあって退屈しなくて知的でかつ時間にも余裕があって平日も会えてスポーツマンで...あんた誰探してんの?だいたいあんたは何があるの?
またまた恥ずかしい話だが、むかしテレクラで知り合って自宅でナニした女の子が、突然僕の部屋にあるものをチェックしはじめた。食器やら、家具やら、本やら、飾ってある絵やら、果ては二枚百円で買ったタイルやら、やたらめったら指差しては「よし」と云うのである。全部「よし」だったからまだよかったようなものの、僕は開いた口が塞がらなかった。まあ、彼女にしてみれば相手のセンスでもチェックしてるつもりだったのだろうが...送って行って別れ際にしつこく云われたが、僕は電話番号教えませんでした。オレはオレで酷い男だ。
全部知ってから好きになるなんてのは計算してるだけでしょう。好きになったら全部知ることなど待ってられないはずだから。
written at 6th, feb, 2001