Aydin Esen

Jazz

アイディン・エッセン(Aydin Esen)はトルコのジャズ・ピアニスト。本来の綴りはiの頭の点がない。

トルコという国は僕らのイメージでいうと、ジャズというものと頭の中でなかなかリンクしないけれど、そんなことを言ったら海外の人から見て日本だってジャズとリンクはしないだろう。トルコは日本では中東に分類されているが、国としてはアジアとヨーロッパをまたいでいて、どちらでもないイメージ。サッカーを見てもそうだ。ジャズ・ミュージシャンとしてのアイディン・エッセンはアジア色や中東色はなく、かといって強くヨーロッパ・ジャズを思わせるものでもない。デビュー当初はビル・エヴァンスの影響を受けたようなセンチメンタルでオーソドックスなジャズ・スタイル、その後エレクトリックな楽器を多用してチック・コリアからスペイン色を抜いたようなスタイルになり、さらに一時期フリー・ジャズへ傾倒し、現在は打ち込みを多用したアヴァンギャルドでアグレッシブなスタイルになっている。かように、スタイルも刻々と変化しながら、オーソドックスからジャズ・フュージョン、フリー、アヴァンギャルドとジャズのあらゆるスタイルを踏襲している、オールラウンドなピアニストだ。個人的には最近で一番お気に入りのアーティスト。


■ 愛聴盤

"Aydin Esen" (1989)

事実上のデビューアルバム。彼のアルバムでは一番オーソドックスだと思う。このアルバムは個人的に最近一番再生回数が多いホントの愛聴盤。素晴らしく美しいアルバムだ。録音状態もいい(重要)。1曲目の”Beauty"が象徴していると思う。

このアルバムはプレミアがついて馬鹿高かったが、再発されてジャケット・デザインは2つある。

これがオリジナルのジャケット。

こっちが再発されたジャケット。ま、再発されて随分安くなったし、ジャケットもよくなった(と思う)。とにかく一部の隙もない美しいアルバムなので買っておいて損はない。ちなみに、iTunesではオリジナル・ジャケットでタイトルが”Trio"になっている。内容は同じ。

"Aydin Esen"  Aydin Esen
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■ その他のおすすめ

"Anadolu" (1992)

次にすすめたいのが、これも比較的初期の作品、”Anadolu"。日本語的には微妙なタイトルだしアルバムジャケットもエスニックっぽいが、内容はチック・コリア・スタイルの聴きやすい(といってもいわゆる耳障りがいいだけのスムーズ・ジャズではない)アルバム。カッコいい。デビューアルバムと聴き比べると、彼のプレースタイルもよりテンションが高くアグレッシブになっているのが分かる。攻めている感じと美しさのバランスが非常によい。完成度の高いアルバム。

とこれが、今調べてみたら現在入手不可のようだ。残念。2曲ほど紹介しておこう。

"Anadolu"  Aydin Esen

"Timescape" (1999)

1999年の"Timescape"になると、シンセを多用してエレクトリックなサウンドになる。この辺まではチック・コリアの影響が強く伺える。この後、彼はフリージャズに向かう。過渡期にあって実験的な要素もあり、バラエティに富んでいる。ここからは一番美しい曲を。

"Timescape"  Aydin Esen
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Sukeza
元音楽プロデューサー。

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私的愛聴盤の紹介。かつてはあらゆるジャンルを聴いていましたが、最近はジャズを聴くことが多いです。ここで紹介するのは、絶対的評価ではなくて、僕の好みです。最近発見したから新しいものとは限りません。