remains

「形骸」

...

気がつくと私は脱皮をしていた。それを脱皮と形容するのがふさわしいのかどうかは分からないが、この場合は脱皮としか言いようがないのだ。私の本体は私というものを脱ぎ捨てた。そして、そこには私という名の形骸が残った。ところが、不思議なことに私そのものはまだここ、つまり形骸の方に残っているのだ。これを脱皮と呼ぶべきなのだろうか。しかし、私の本体はさっさと私の形骸を後にして、どこかに行ってしまった。言い換えれば、私は自分自身を見失った。私はただの形骸としてここに残り、形骸としての人生を歩むことになった。ところで、肝心の私の本体はどこに行ってしまったのだろう? 

written on 12th, may, 2006

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