tokyo

「六本木」

while I was dreaming...

本当に、まるで春のような陽気の一日。それとももう春なのか。

ハイ・ディフィニション映像のコンベンションで久々に六本木を訪れた。例の元部下と待ち合わせているのは二時前だが、なにしろ久々なのでいろいろと寄りたいところもあり、午前中から出かけた。いずれにしろ、この街には思い出が多過ぎて、全てを一度に見て回ることなど到底不可能だ。

渋谷からバスに乗ると、まるで必然のように以前勤めていた会社に変わらず通う女の子と隣り合わせて、久々に話をした。六本木通りを歩けば、僕が最初に入った会社の人間とすれ違う。向こうが気付かなかったので敢えて声は掛けなかったが。

考えてみると、大学を出てからの半分近くを六本木に通っていたのだ。

この街は一見同じように見えてそこここがじわじわと変化を遂げている。百年も工事をやっていたかと思われる防衛庁前の駅もやっと出来て、大江戸線と云うなにやら垢抜けない名前の地下鉄がひとつ増えていた。AXISで雑貨を見てお茶を飲んで、ABCで本を見て。なにより驚いたのは、久々にCDを買おうと向かったWAVEが再開発とやらでビルごと消え失せていたこと。やれやれ。どうやら僕の世間知らずや時代遅れは日々深刻になっているようだ。しょうがないので隣の文房具屋で文房具を少々買った。

コンベンションが始まると、最新の映像技術に関心することしきり。

こうしてちょっと目を逸らしている隙に、世の中はちょっとずつ変わっていくのだ。

それでもロアビルの隣にあるハードロックカフェの外壁には、僕が初めてこの街を訪れたときと変わらず、デカいキングコングがいまだにしがみついていた。

帰り道、今ではこっちの方が根城となっている渋谷を徘徊し、相も変らぬ隠れ家のようなアナログな喫茶店で珈琲を飲みながらこれを書いている。

written at 15th, mar, 2001

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