常に主役をやると云うジンクスは大学に入って崩れた。仏文のクラスでフランス語劇なのに何故かギリシャ悲劇をやることになった。タイトルは忘れたが、ソフォクレスかなんかの奴だったと思う。ここで遂に僕は準主役へと格下げされた。王子の役である。主役は王子の父親である王の方である。生まれて初めて女子生徒によってたかって化粧(ま、メイクだ)を塗りたくられ、化粧の乗りがいいだの化粧映えするだのとおだてられて弄ばれた。それでこんなヘンテコな写真が残ってしまったのだが、実はこの後、主役である父親の王に間違って殺されるかなんかで死体になってしまうのであった。従って、舞台後にみんなで撮った写真では僕だけが青黒い死体メイクになっている。