wonder-ful world vol.8

「不思議なこと その8 痴漢」

じつは痴女にもあったことが...

むかしむかし、僕は美少年でした。それはともかく、とんでもなく純情だったことは確か。僕は大学に入ってから東京に出てきたわけで、最初は右も左もわからない状態。何しろ、受験のときに東京に出てくるときに父親に「東京の電車はドアが閉まるのがとんでもなく早いから気をつけろ」(...)と言われて、最初に山手線かなんかに乗ったときは、ドアのそばから離れなかった。最近はどうか知らないけど、とにかく当時の山形の電車は各停でも各駅に5分ぐらい停車していたのだ。恥かきついでにバラすと、僕が東京で初めて入った喫茶店は渋谷駅前の「マイアミ」(あ、もしかして知らない人いる?知ってる人だけ笑ってね)。言い訳しとくと、朝の7時ぐらいだったのでそこしか開いてなかったのよ...と思う。

僕が生まれてはじめて六本木に行ったのは、同じクラスの女の子に無理矢理パー券(パーティー券のこと。知ってるか...普通)を買わされたとき。早い話がディスコでの合コン。同じクラスで一緒にバンドをやっていたA(当時ベース。いまはキーボード。アレンジャーとしてスマスマとかやってる)とロアビル前(笑)で待ち合わせをした。どうにかこうにかたどり着いた僕は不安におののきながらロアビル前の信号のところで友達を待っていた。そこでたぶんOLと思われる年上の女性に声をかけられた。要するに生まれて初めてナンパされた訳である。いまだったら喜んでその場で押し倒しているわけだが、当時の僕は緊張のあまり必死で友達を待っていると言い訳をした上、目的地のディスコ(いまのハードロックカフェの辺り)まで走って逃げた...そんな僕も大人になってしまったのね。あ、こういう話を手前ミソと言うのだろうか...。

それはそれとして、僕は痴漢にあったことがあるのだ。学生時代の僕は、バンドをやっていたこともあり定番の(?)パーマをかけた長髪だったのだが、ある日終電で帰ることになった。なんでかは覚えてないが、学生時代の僕はバンドとパチンコぐらいしかやっていなかった(いまもあんまり変わらんな...)ので、たぶんバンドの帰りだったと思うが、いまも昔も中央線の終電は無茶苦茶に混んでいる。客席の真ん中あたりで吊革につかまっていると、20代のOLと思われる女性(とにかく当時は自分より年上の女性はみんなそういう風に見えた)が、吊革沿いに混んでる中をこちらに移動してくる。見ると、中年の男がその女性にピッタリくっついて移動しているではないか。女性の困惑した顔を見て、これは痴漢だな、とピンと来た。その女性はどんどん移動してきて、とうとう僕を通り過ぎてしまった。ところが、女性にくっついて移動してきた男が、あろうことか僕の隣まで来てピタリと止まってしまったのだ。時おりしも東中野あたりまで来て駅も残りあと一つ二つというところ。男は今度は僕にぴったりとくっつくと、いきなり僕の太ももの辺りを触ってきた。げっ、と思いながらも、もしかして僕が長髪だから勘違いしてるかも、と思い顔は美少年ながらも(まだ言ってる)男の顔なので見ればわかるだろうと思い、男をにらんだ。ところが男はやめるどころか、その手はだんだんと上にあがってくるではないか。純情だった僕は「何すんだ」と言うのもカッコ悪いと思い、「そこ」にたどり着けばさすがにいくらなんでもわかるだろう(?)などと考えていたのだが、とうとう「そこ」にたどり着いても男はまだヤメない。この野郎と思いながらも、もう駅に着いてしまうので馬鹿混みの電車から降りる方が先決。やっとこさホームに降り立った僕は本当に気分が悪くなってしまった。それ以来、痴漢だけはやるまいと心に誓ったのであった...。それにしても、あのオッサン何考えてんの?

何?両刀使い?別に不思議なことでもないか...

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