月夜

8月27日、木曜日。

何から書けばいいのだろう。書こうと思ったらいくらでも書くことがあるが、単に恥をさらすだけのような気もする。夜散歩したら何故か夜の町がくっきりと見えるのでなんでだろうと思ったら、月が明るいからのようだった。今夜はほぼ半月に見えた。月夜というのは本当に明るいのだなということに気づいた。

夕食の冷製スパゲティを食べていると、公衆電話からスマホにかかってきた。その手があるのを忘れていた。食事中だったので都合3回切る。4回目は一応食べ終わったタイミングなので出た。すると、彼女はうちにノートを忘れたとあからさまな嘘を吐いた。そんなものはないと撥ねつけると今度は泣き落としが始まった。うそつき、と言って僕は電話を切った。その後電話はかかって来なかった。実を言うと昨夜既にLINEのブロックは解除している。ただ通知をオフにしているだけ。彼女はそれに気づいていないようだ。いずれにせよ、どれだけ人を傷付けても何度でも許されると思ったら大間違いだ。これだけ人の気持ちや自尊心を踏みにじる人間がこれまで殺されずに生きてきたことが不思議なくらいだ。だがそれでも前述の夜の散歩中、僕は罪悪感に駆られた。

これが今日の結論。

今日はアマゾンからクッションカバーが届いた。61歳にしてマッチングアプリに登録してみた。すると、次から次へといいねとかメッセージが来るのだがどれも二十代の女性。で、届くメッセージはというと2万円でどうですかとかそういうものばかり。どうやら山形では2万円が相場らしい。要するにパパ活の場になっているのか、あるいはコロナでヒマになったデリヘル嬢の営業なのかのどっちかなんだと思う。自分でもバカバカしいと思う。特に誰かと付き合いたいというわけでもないのだ。ただ単に彼女から気持ちを逸らしたいだけだ。めんどくさいのでそのまま放置しているが、なんらかの反応があったのは最初だけだった。僕が欲しいのはまともな話し相手だが、じゃあ何を話したいのかというと具体的なものがあるわけではない。実際、自分がまともな人間かというとかなり自信がない。彼女がモンスターであるなら、さしずめ僕は人間失格といったところだ。そんなわけで間欠的に自己嫌悪感が湧いてくる。

作詞家の及川眠子いわく、生きていればどこかで必ず潮目が変わるというのだが、本当なのだろうか……。

ここでちょっと本音を吐けば、俺はもうダメかもしれない。人間として。

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