9月16日、月曜日。

10時11分起床。

祭りは今日までのはずなのに、何故か不思議と静かな一日だった。喧噪に朝起こされるわけでもなく。

午後、弟が来ていざというときの打ち合わせを少々。それから二人で母の面会に。

正直なところ、弟が怖い。もうちょっと正確に言えば弟に怒られるのが怖い。何故かというと、弟はあまりにも常識をわきまえた真っ当な社会人だからである。昔は僕らの関係はちょっと違っていた。弟は何をするにしても俺の後をついてきた。俺がギターを弾けばギターを、バンドをやって曲を作れば弟もという具合に、少なくとも大学を卒業するぐらいまでは弟は完全に俺のフォロワーであった。問題はそこから。会社を7つも8つも変わるし挙句にフリーランスで食えなくなった俺とは正反対に、弟は卒業後銀行を勤めあげた。30そこそこで結婚して子供を二人もうけて、仙台に家も建てた。そういう意味でも弟は分家であり一家の主になった。真っ当な社会人が向き合うものをすべて経験してきた。結局のところ、一介のギャンブラーに過ぎない自分と、あまりにも正反対の人間に気がつくとなっていた。

って、結局はすべて自分のせいなのだが、自分と違って弟はやるべきことをすべてやれる人間なのである。その辺がうつ病歴25年の自分とはまったく別次元の人間になってしまった。もちろん、常識がすべて正しいというわけではないが、往々にして常識を持った人間の方が正しいのは火を見るよりも明らかである。

今日は夕方なんとか玄関前の草取りを10分程度やったが、そんなことをするだけにも下手をするとひと月ぐらいかかるのが今の自分だ。弟は何十年もかけてちょっとずつ積み上げたものがあるが、自分は何十年もかけていろんなものを失い続けている気がする。残ったものは数えるほどの人しか聴いてくれない曲たち。多少なりとも得たものはあるような気はするが、それは曲の書き方だったりギターのフレージングだったり、日常生活とは縁のないものばかりだ。

俺はただ失うために生きているのだろうか。そうではないことを祈ろう。

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