9月29日、日曜日。
9時56分起床。どうも最近は入り組んだ夢を見る。
昼頃に庭仕事少々。
今日の母は一見して昨日より明らかに痩せて見えてびっくりした。もしかしたら姿勢とかそういう影響があったのかもしれないが、もうこれ以上痩せることはできないんじゃないかと思えるくらいに痩せて見えた。そして、ほぼ一言も発しなかった。もうあまり時間は残されていないんだなと改めて思わざるを得なかった。
馳星周「夜光虫」再読了。
数年前に図書館から借りて読んで、非常に面白かったのを覚えているのだが、今回再読してみたら覚えていたのは前半のところだけで、他のディテイルは初読と変わらずに読めた。馳星周がノワールものを書いていた時代の作品で、馳の当時の特徴でもあったのだがとにかく救いがない。主人公はまず自分を一番慕っていた後輩を殺してしまう。そこからは坂を転がるように転落していって、ひたすら破滅へと突き進む。遂には誰彼構わず殺さなければならないところまで追い詰められる。結局主人公は完膚なき殺人者へと堕ちてしまうのだが、何故かそこにある種の爽快感すら覚える。主人公は奈落の底に落ちていくのだが、それがある種のビルドゥングスロマンとして読めるのである。
結局この主人公は卑怯で、自分勝手で、臆病で嘘吐きでもあるのだが、そこを突き抜けてしまい本物の血も涙もない悪党になってしまうところに感情移入できてしまうのである。正義のために人を殺すアメリカンヒーローとは真逆の存在。しかしながら、ある意味弱者が追い詰められて強者になるという、そこにカタルシスがある。負も突き詰めればカタルシスになるのだなと。