11月11日、日曜日。
昨夜はあれから、茶の間のコタツで手に汗握りながらACL決勝第2戦のペルセポリス対鹿島の試合を見た。カクテル光線の下、10万人のブブゼラの音で何も聞こえない中でプレーする選手たちを見て、改めてプロのサッカー選手のメンタルって凄いなと思った。GKのスンテがとにかく凄かった。あのプレッシャーの中でことごとく止める。伊達にACLを2度取っているわけじゃないんだなと。試合はまったくもって鹿島らしい試合運びでスコアレスで終わらせて優勝。しかし、最後の最後まで安心しては見ていられなかった。アディショナルタイムが残り15秒になってようやく、さすがに15秒で2点は入らないだろうと思った次第。深夜に絶叫しまくり。とうとうACLが取れた。感無量。大会MVPは鈴木優磨になったが、個人的には前述のスンテ、あるいは決勝第1戦で顔面ブロックしたスンヒョン(あれですべてが変わったと思う)、もしくは5得点したセルジーニョ辺りでもよかったかなと思う。スンテとスンヒョンにはいくら感謝しても足りないくらい。
そんなわけで深夜2時過ぎに大喜びしていたんだけれども、一方で母のことを考えると自分だけがこんな風に幸せでいいのだろうかという思いもまたあった。
なかなか試合の興奮冷めやらず、3時半ごろに寝たので当然のように11時半起床。本日は4時半に精神科の予約があるので、その前に母のところに行くにしても時間が余る。さてどうしようかと思いながらひとまず時間潰しに業務に行ってみる。すると、打ち始めて2回転だか3回転で確変が当たり6連チャンというあまりに嘘くさい展開になったので即ヤメ(なんだか気味が悪いくらいツイているので)、そのまま母のところに面会に行った。
すると、今日の母はまったくもってフツーーーーの顔をしていた。喋る言葉もはっきりしていた。昨日点滴を終えて出てきた母は明らかに目つきがおかしかったので、一夜明けてそれがまるで嘘のように、ちょうどいびきをかいてひたすら寝続けていたここ三日ばかりの前の状態に戻っていた。ことここに至って、ようやくほっとした。昨夜0時を境に、物事はなんだか嘘くさいぐらいに好転していた。10日から11日になった途端にいいことづくめ。禍福はあざなえる縄の如しというが、それにしても……。不思議なことに、母は昨日のことをまったく覚えていなかった。救急車に乗ったことも病院で点滴したこともまるっきり覚えていなかった。同じく不思議なことに、三日前に弟が来たことは何故か覚えていた(だが昨日弟が来たことは覚えていない)。
弟に電話をして母と話をさせながら、なんだか万事がすべていい方向に向かっているような気すらした。しかしながら、肝心の母の左足のむくみと傷はまったくよくなっていないのだ。もろ手を挙げて喜べるわけではない。
4時半ちょっと前に精神科に行くと、待合室では誰も待っていなかった。なんだか上手く行く日はなんでも上手くいくのかな、などと思った。それでも誰も待っていないのに30分近く待ったのだけれど。
ともあれ、昨夜0時からの不思議な流れを追ってみるに、人生悪いことばかりがひたすら続くわけではないのだな、という風には思った。とはいうものの、まだまだ僕は半信半疑である。根がどちらかというとペシミストだから。少なくともオプティミストではない。せめて昨日の夕方の時点で母が今日ぐらいの感じになっていれば、鹿島が優勝したときにもっと喜べたんだがなと。