9月6日、金曜日。
今日は11時に母が退院。アラームをセットしたものの、結局鳴る前に起きた。8時47分。特養の人よりも早く着かなければと思い、10時ジャストに病院へと向かう。今日も暑く、途中ミンミンゼミが鳴いていた。特養の職員は珍しく11時ぎりぎりに来た。Hさんが来るのはいつもの通りなのだが、看護師がAさんじゃなかった。結構ショック。そういえば火曜日の打ち合わせのときもAさんじゃなくKさんが来た。前回までは入院時、退院時ともにAさんが来たのになんでだろう。病院の看護師が請求書を持ってきたので1階で払って帰ったのだが、今回はトータルで10万を超えていて驚いた。ひとつには月をまたいでいるため。翌月になると少ない日数でも入院費がかさむ。それに加えて今回は、台風で大分から医師が来れなくなって実質2泊しただけの分も請求されており、それも日数を考えると高かった。都合請求書が3枚あったので高くなったのだった。
帰宅後昼寝。珍しく夢を見なかった。珈琲の生豆を煎ってから、4時過ぎに特養に。Hさんが請求書の控えを欲しいと言っていたので渡すと、施設長が来るまで玄関のソファーで待って欲しいという。で、施設長とHさんがやってきて、お見舞いということで金一封を渡されたので驚いた。後で見たら1万円だった。どうやら話を聞いていると、今回母が転んで骨折したのは特養の事故案件となっているようで、その手順を踏んでいるようだ。確かに最初に母がトイレに立ったときにセンサーが鳴っていれば……ということはあるけれど、自分の中では特養に責任があるとはまったく思っていないのでなんだか恐縮してしまった。
母の部屋に行くと、今日の母は元気がなく口数も少ない。母が喋らないと辛いと僕が言うと、ようやく声に出して返事をするようにはなったけれど。帰りがけ、看護員の待機室を覗くと、やはりAさんの姿はなかった。そして、もしかしたらこれは気のせいかもしれないが、ドアに貼ってある看護員の写真がなかったような気がした。ことここに来て、もしかしてAさんは特養を辞めてしまったのではないかと思うようになった。思うだけでそれを確認する勇気はない。
正直動揺した。僕はAさんにちょっとした恋心を抱いていた。なので、なんだか失恋をした気分になった。一体何年ぶりなのか分からないくらい久しぶりに、僕はちょっとした失恋をした気分を味わったのだった。考えてみればAさんに対する恋愛感情というのはなんら具体的な行動を伴っていないので妄想の域を出ない。ということは、今回のこの失恋もそういう意味では疑似的な失恋に過ぎないんだろう。だがそれなりに喪失感はあった。たぶんそれは理屈的に考えるとひとつの妄想を失ったということなのだろう。妄想にしろ疑似イベントにしろ、僕はすっかり意気消沈した。食欲もなかった。このままではひたすら気分が塞いでしまうばかりなので、台所で夕飯を食べ、YouTubeで「全裸監督」に関する主演の山田孝之のロングインタビューをひたすら見た。このインタビューはひたすらポジティブなものだったので、本格的な鬱屈に至る前になんとか少しはましな気分になったが、たぶんそれはインタビューの内容云々よりも食事を摂ったということの効果の方が大きかったように思える。
その後、なんとなく久しぶりにフェイスブックを見てみたら、同級生女子のMがどうやら10歳以上年下の男を作って同棲を始めたということが判明、だからどうなんだということなんだけれども、タイミング的に疑似的な失恋をしたところなので人のリア充はことさらこたえる。相対的に自分の非リア充さ加減が増大する。いや、実際は非リア充なんてものは増えたり減ったりするものじゃないとは思うが。
結局のところ、すべては気分の問題なのだろうか。実際には存在していない恋愛で失恋したり。人のリア充をうらやんだり。恐らく何かが変わったわけではない。変わったことがあるとすればAさんが本当に特養を辞めてしまったとしたらそうなるが、それとて確認したわけではなく想像の域を出ない。たまたま母が入院していてしばらく特養に行っていなかったので、余計な妄想が膨らんだのだ。Mが同棲を始めたというのは確かに具体的に何かが変わったことではあるが、ぶっちゃけ今の自分にはあまりにも関係ない。本来どうでもいいことなのだ。確かに学生のころのMは美少女で、クラスで最初に目を引いた女の子ではあったが、そんなことは何十年も前の話である。
考えてみれば、すべての恋愛感情はそれが具現化するまではただの妄想である。欲望と妄想。それは言い換えれば夢と希望だ。この歳になって失恋だのへったくれだのというのは実に不思議な気がしないでもないが、例えそれが誇大妄想であってもそういう気持ちは失わずにいたい。
それはともかく、いつだったか、もう一か月は前だと思うが、永久保証を謳うジッポーの修理に生まれて初めて出してみたのだが、それが今日届いた。
生まれて初めてジッポーの修理に出したのが戻ってきた。インサイドユニットは新品に交換され、蓋のヒンジの緩みも完璧に直っていた。凄い。 pic.twitter.com/lYC0GUwhQI
— Sukeza (@anykindoflove) September 6, 2019
いや、今まで壊れるたびに新しいのを買い直していたけれど、もっと早く無料修理を利用していればよかった。ほぼ新品になって戻ってくる。
ともあれ、俺は恋することを諦めないぞ。いつかリア充になるまで。とはいうものの、自分の人生の大半は尋常じゃないモテキだった。そのツケが今回ってきているのかなという気がしないでもない。そういえば先日中学の同級生にコクられたのだった。ということは要するに組み合わせの問題なのか。いらぬ運を使っている気がする。上手く行かないな。