罪と罰

2月27日、木曜日。

昨夜あれから彼女から電話があったので、そのときにスパゲッティが美味しかったことは伝えた。しかし、朝起きると彼女からLINEをブロックされていた。確信があるわけではないけど、「おはよう」と送信したはずが送信されておらず、再送を試みてもダメだったところをみると、たぶんブロックされていたんだと思う。なんていうか、酷く嫌な気分というよりも酷くがっかりした。先般自分が彼女にLINEをブロックすると告げて結局できなかったのだが、実際に相手にブロックされるとこんな気分になるんだなということが分かった。その意味では自分からブロックしなくてよかったとも言える。

ともあれ動揺していた。動揺しながらトレードをした。案の定大失敗をした。目一杯のショートポジションを持って何時ごろだったか、夕方近くに利食えるところで躊躇してしまった。ずっと彼女のことが気になってしょうがなく、ここでポジションを全部決済してしまったら後は延々と彼女のことで悩まなくてはならない、と思ってしまったのだった。詰まるところ、トレードとはまったく関係のない理由でエグジットしなかったのだ。結果どうなったかというと、夜中に最近の勝ちを全部吹っ飛ばす特大のストップを食らってしまった。途中で変だなとはずっと思っていた。ドル円が下がってVIX指数も上がり、明らかなリスクオフなのにどうしても豪ドル米ドルが下がらない。妙だなと思ってユーロドルを見ると延々と上がっておりドル売りになっている。リスクオフなのにドル売り?と思いどうしても納得がいかなかったが、夜になって米長期金利を見ると長期金利がとんでもなく下がっていた。それに気づいたときにはもう遅かった。夜の指標でもなんとか助かっていたがニューヨーク時間に入る一分前にストップがついた。

何時ごろだったか、午前中にダメ元で彼女に雪が降ってきたとLINEした。夕方になって、それが既読になっていることに気づいた。とすると、もしブロックされていたとしてもどこかのタイミングでブロックを解除したのだろう。7時ごろに、俺ブロックされてるよね?とLINEしてみたところ、1時間後にスタンプで返事が来た。宮城弁で具合が悪いという意味のスタンプだった。あまりよろしくない返事ではあるが、とにかく彼女から返事が来たことにほっとしている自分がいた。それに返信したところまたしばらく既読にならず、夜になってまた同じスタンプが返ってきた。どうやら本当に具合が悪いようだ。その後彼女からの連絡はない。

人間はどうして罰が当たったと思うのだろう? どうしてなんでもかんでも罪の意識に変えてしまうんだろう? 気がつくとその罰を与えているのは神などでは決してなく、まさに自分自身なのだった。

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