往く人

4月7日、火曜日。

何もかもが堂々巡り。ちびくろサンボの、木の周りをぐるぐる回ってバターになってしまう虎(だっけ?)のよう。

緊急事態宣言にしてみたところで、なんだか既視感しかない。

もう随分長いこと新聞というものを取っていないが、それはネットで情報が入るから読む必要がないからで、唯一新聞を読む必要があるのはお悔やみ欄だけだ。しかしそのためだけに毎日新聞を取るというのもなんだし、かといって身内の不幸を知らずに不義理をしてしまうのも怖い。以前町内の同級生が亡くなったときは町内の叔母が知らせてくれたりした。そんなことを気にしていると、いつごろからだったか、去年あたりからかな、ネットに山形のお悔やみ情報というものが出来て、毎朝それをチェックしていた。これは非常に助かるのだけれど、最近になって個人情報がどうたらというので故人の住所や喪主といった情報が載らなくなってしまった。なんていうか、訃報そのものが個人情報のような気がするのだけれど。

そんなわけで今朝も朝食後にお悔やみ情報を見ると、とうとう見知った名前を見つけてしまった。母のもっとも親しい友人三人組(母を入れて四人組)のひとりである。住所は載ってないけれど、母と同い年だから間違いないだろう。ようやくお悔やみ情報が役に立ったわけだが、やっぱりちょっとショックだった。母が知ったらさぞかしがっかりすることだろう。三人組と最後に会ったのは去年のいつごろだったか。そのとき既にその人は一人だけ認知症で呆けていて、誰が誰だか分からなくなっていた。葬儀は明日の3時から。申し訳ないけれども、今はこういう時期だから受付に香典だけ届けて式には参加しないことにする。

夜、久しぶりに香典袋に筆ペンで「御霊前」と書いたら我ながら下手くそな字だった。間違えそうになったから。

本橋信宏の「全裸監督」、物凄く分厚い本だけれど気がつくと586ページまで来ていた。寝る前に寝床で読んでいるだけなのに。

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