じたばた

10月22日、木曜日。

今日はいろんな意味でじたばたし、どたばたした。

10時前に起床。午前中は快晴。薬が切れそうなので昼前に皮膚科に。天気がいいので紅葉を見ながら昼食にしようと、その足でコンビニでサンドウィッチを買い、久々に町外れの人造湖に向かう。着くころには少々雲が増えてきた。

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写真を見ても分かるように、まだ紅葉の見ごろという感じではなかった。というよりも、広葉樹が少ないようだ。久しぶりの山の中の人造湖は人の気配がまったくなく、静まり返っていた。湖面にわずかばかりの紅葉が映る。

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サンドウィッチを食べて煙草を一服して帰宅。3時に年金事務所の予約があるので、小一時間ほどしてまた車で出かける。

予約しただけあって、ほとんど待たずに相談は始まった。障害年金の申請書類を見せると、またもや例によって初診を確認するものがないという話になり、つい切れそうになる。

「15年以上も前だし、その後4回も5回も引っ越ししているし、第一15年後にまだ病気でさらに悪くなって年金を申請することになるから領収書や診察券を取っておこうなんて思うわけないでしょう!」

僕がそんな風に勢い込むと、名刺によると相談室の室長である担当の男性は「あなたがそういう風に諦めてはダメでしょう」と僕をいさめた。話を聞いているうちに、この担当者が物凄く親身であることに気づいた。とにかく僕が年金を受け取れるようにしたいのだと彼は語った。もし不受理になっても異議申し立てとかさらに2度チャンスがあるから、そこまで諦めないで頑張りましょうと言ってくれた。あんまりいい人なんでちょっと驚いて、ちょっと感動した。いずれにせよ初診に当たるのは、用賀のメンタルクリニックではなく、その前にちょっと受診した溝口の精神科になるという。ひとまずこちらを電話で確認して、カルテがなくて受診記録もないようであれば、第三者証明という親族ではない第三者の証明書が必要になるという。そのころは制作会社に在籍していたころなので、当時の社長と同僚に頼んでみるということにした。

ところで、この年金事務所の担当者、僕の年金記録を見て「雲母社」を「きららしゃ」とちゃんと読んだので(普通の人はまず「うんもしゃ」と読む)驚いていたところ、「これって松任谷正隆さんの会社ですよね?」というのでさらに驚いた。話をしてみると僕がディレクターをやった松任谷由実の4枚のアルバムを全部持っているという。なんというか、こういうところもラッキーだったのかもしれない。

とにかく、もうまったく受理される見込みはないであろうと諦めていた障害年金の申請に少し希望が出てきた。

少しばかりの希望が見えてきた帰り道、美容院に寄って髪を切った。最近抜け毛が気になるし生え際が後退しているような気もしていたので、思い切って短くした。ばさばさと切られて落ちてくる髪の毛の塊を見ると、随分と白髪が目立っていた。ずっと髪を切りたかったので、少し気分的にもさっぱりする。

帰宅後、まず溝口のメンタルクリニックに電話してみる。すると案の定受診記録がないということだったが、それ以前に設立が8年前だということが分かり、どうやらそもそもこのクリニックではなかったということが判明。もうひとつの病院に電話をしてみるが、5時以降は担当者がいないということで明日かけ直すことに。

いずれにしても誰か第三者証明を書いてくれる人を見つけておいた方がいいだろう。たぶんというか間違いなくもうカルテは残っておらず、受診記録もないだろうから。というわけで、制作会社の当時の社長であったセイと、同僚だったクラモトに電話してみるがどちらも留守電。なんとか誰かを担保しておきたいと友人に片っ端から電話してみる。ところが誰一人電話に出ない。学生時代のバンド仲間、業界時代の仕事仲間、同級生、I泉さん、思いつく人間すべてに電話してみたが、驚くべきことに全員が留守電だった。唖然。物凄く焦る。ちょうど昨日読み終わった「ナイルパーチの女子会」の世界に陥りそうになる。まるで世の中から友人や知人が消え失せてしまったような気がするし、もしかすると彼らは僕が思っているような友人ではそもそもなかったのではないかというような疑心暗鬼に駆られる。まあ平日の夕方という時間帯もあったのかもしれないが、それにしても誰一人連絡がつかないとは。3人ぐらいに留守電のメッセージを残したものの、夜になっても誰にも繋がらない。さすがに焦り狂う。とうとうHにまで電話してしまう。セイもクラモトもヤマザキもI泉さんもいつまで経っても何回かけても留守電。考えてみればセイとクラモトには何年も電話していないから電話番号が変わったのかもしれないし、下手をすると死んでいるかもしれない。セイは会社を畳んで池袋で店をやっているのだが、ネットで調べて店の方に電話をしてみても出ない。もうホントに焦りまくる。最後の頼みの綱と思っていた同級生のジョンも留守電。まるで世界から誰もいなくなったような錯覚に陥りそうになる。

というところで、ジョンがLINEでかけ直してくれた。こうしてじたばたした挙句、ようやく世界と繋がったのである。という気がした。事情を話すと、ジョンは気持ちよく引き受けてくれ、とにもかくにもほっとする。誰もいなかったらジョンが第三者証明を書いてくれることになった。ありがたい。本当にありがたい。ジョン、ありがとう。

という具合にようやくどたばたが収まって一安心ついたところで相場のチャートを見ると、ちょうど大きく動き始めたところなのでバタバタとポジションを取ってちびって即利食い、それでもプラスに。

こうしてじたばた、ドタバタした一日もようやく終わったかに見えた。がしかし、予想外に大きく動いた相場のチャートを眺めているうちに、夜11時の指標時に魔が差した。衝動的にポジションを持ってしまい、そこからまたもやじたばた、ドタバタしてしまい、気がつくと本日の利益が半分以下に。あー。頭をかきむしる。

とまあ、何かとじたばたした一日であった。いやホントに、一時は友達が誰もいなくなったのかと思った。

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