いつも通り6時に起こされ、朝食後に特に異常がないことを確認して、無事退院が決定。というわけで、会計が上がってくるまで時間があるので、いつも一服している、川を渡ったところの遊歩道沿いの小さな公園の奥にあるベンチで、エスプレッソを飲みながら時間を潰す。辺りはさながら桜の花で覆い尽くされた森のようだった。
会計を終えるころには外は小雨がパラつき、重い荷物を持って駅まで歩く体力はさすがにないので、タクシーで駅まで。ドトールで一息吐いてから電車に乗る。今日はずっと飲んでいた吐き気止めを朝飲まなかった。すると、電車の中で軽い吐き気を覚える。やっぱり多少の副作用はある。地元の駅に着き、地元のドトールで昼食用のサンドウィッチ、スーパーでサラダと飲み物とかを買ってこれまたタクシーで帰宅。もうすっかり息は上がってへろへろである。高々一週間ちょっとの入院だが、帰宅してみるといろんなことに驚かされる。食器棚の上のパンのかけらはカビの塊になっており、昨日の点滴で免疫力が下がっており、エイズでお馴染みのカリニ肺炎(カビが原因)に成り易くなっているので洒落にならない。おまけに炒ったまま放って置いた鍋の中のコーヒー豆までカビ、慌ててゴミ箱に捨てる。もちろん、窓を開けて換気。久方ぶりにPCを立ち上げると、まず最初に感じたのは解像度の違和感。入院中はずっとiPhone頼みで高解像度の文字を見慣れた目には、PCのブラウザ上の文字のなんかぎざぎざっとした解像度の悪さに唖然とする。メーラーを立ち上げると案の定2000件以上のメール、9割以上がスパム。それはともかく、入院中の日記をざっと眺めると自分では苦労して書いたつもりが皆短いのでびっくり、やっぱり携帯というかスマホで日記を書くというのは入力も面倒だし全体を把握出来ないので難しい。もちろん、曲りなりにも病床で集中力を保って書く、ということ自体が難題でもあった。
なんだか知らないけど、帰宅した途端に手というか指が痺れてしょうがない。医者は明日辺りからどすんと体力が落ちる感じがする、と言っていたが既に落ち切っている。病院の中にいる間は案外平気と思っていたのが、帰ってみると何事もしんどい。コーヒーの豆を半分捨ててしまった手前もあり、まともなものを食べられる気配もないので、夕飯は駅まで歩いて行って蕎麦屋で済ませ、スタバで豆を買い、本屋で貴志祐介「悪の教典」がノベルスになっていたので買い、またまたスーパーでトマト、パンその他を買い、帰途に就くがしんどい。体感的には体力が入院前の3分の1程度。いまだ小雨が降っているので途中で休むわけにもいかず、半ば遭難しそうになりながらようやっと部屋に辿り着く。これを書いている今も指が痺れてキーボードを打ち辛い。おっと、キーボードと言えば、帰宅早々ネットでシンセサイザーを買ってしまった。この状態では当分まともに弾けそうにもないが。時計を見ると病院ではとっくに寝ている時間、粗食と時差ボケを修正するのにどれぐらいかかるか。今は湯船に湯を溜めている。ようやっとシャンプーで頭を洗える。