相克、鳥はいまどこを飛ぶか

長い夢を見て、10時過ぎ起床。目が覚めると頭痛。昨夜はいい加減睡眠薬依存から脱却したいと思い、薬を飲まないで寝たのだが、眠れないこと。恐らく1時間以上うだうだしてようやくなんとか眠りに就いた。すると、不倫現場を相手の旦那から見つかるという、なにやら20年ぐらい前の体験を彷彿とさせる夢を見て、それは夢特有の出口の見つからない、まったくもってトラブルそのものの体験であったものの、その夢の中の苦悩ですらどこかしら楽しんでいる自分がいるような気がした。実際のところ、どうせなら毎晩夢を見た方が人生を倍生きているのと同じことになるんじゃないだろうか、などと考えていたのだが、長い夢を見ると寝た気がしないのも事実だ。相変わらず今日もダルくて、何もやる気がせず。しばらくはただぼうっとして時間を過ごす。午後になってからようやっと重い腰を上げて楽器を取り出し、ギターを弾き直したり、ストリングスやシンセを弾いたり。それも一気にやる根性がないので、ひとつやっては休み、みたいな感じでだらだらと。それもこれも、恐らく体調が悪いせいでモチベーションが限りなくゼロに近いからだと思う。そんなわけなので曲を聴くたびにいいと思ったりよくないと思ったりして微妙に気分が揺れながら、しかし確実によろしくない方向に傾いていく。それは何もしていないときでも同様で、もう死んでしまいたいとか思ったかと思うと、死んでしまいそうで不安だ、という具合に、相反するものの間で揺れ動く。要するにどちらでもなく、それはただの気分であって実際は何も分かっちゃいないのだが、夜に久方ぶりに学生時代の友人に電話をしてみたところ、5人に電話して全員に繋がらなかったりして、ああ今日は3連休の中日、みんな旅行にでも行っているのだろう、部屋に閉じ篭って日がな鬱屈していたりするのは自分だけかも知れない、などと、気分が沈む材料には事欠かない。曲の方もなんかどうでもよくなり、現状でミックスしてとりあえずFacebookにはアップしておいたが、少し寝かせておいて精神的体調のよいときに見直す、っていうか聴き直した方がいいだろう。あ、そうか、明日も世間は休みか。うーむ、どうして休日というのは気が滅入るのか。

おっと忘れるところだった、山野浩一の短編集「鳥はいまどこを飛ぶか」読了。この作品集に関しては、SFとは何か、みたいな論点になり、真面目に書くと話が長くなるのでなるべく端折るけれど、要するに異次元とか異空間、不条理といった設定イコールSFとみなすとすればカフカの「変身」とか村上春樹の小説とかも皆SFになるわけで、この作品集もいわゆるSFというよりは観念的な小説が大多数を占める。どちらかというとカフカの世界に通じるものが多い。したがって、袋小路に迷いこむようなものが多いので、苦手な人は苦手だろうと思う。僕自身も好きなものと苦手なものが交互に出てくるような感想を抱いた。中では「赤い貨物列車」がスリリングで読み手を惹きつける構成になっていて上手いなあと思った。昭和40年代の作品が中心だが、そういった意味での古さはない。

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