夏休みの終わり

8月15日、金曜日。

アラームで9時ジャスト起床。午前中住職が来て棚経を上げる。

俺の人生の夏休みも残り二日で終わる。長い夏休みだった。実家に戻ってからだけでも12年、その前も入れるとかれこれ15・6年。考えてみるともう20年も人に雇われたことがない。そんな俺が来週からフルタイムで仕事をする。それもほぼ最低時給で。

ここまで本当に長かった。ことの始まりはどこだろう? たぶん制作会社を辞めて、最初にパチプロになったころだ。それともユーミンの原盤ディレクターをやっているころに競馬を覚えたことだろうか。それとも40歳ジャストでうつ病を発症したころか。

どうしてこうなったんだろう? うつ病で多剤処方を受けていたころは酷かった。独り言が止まらず、駅でぶっ倒れてチアノーゼが出たり、セロトニン症候群で昏睡状態になって死にかけたり。薬で躁転して人間関係もおかしくなった。誰彼構わず噛みついたり、クレーマーになったり、毎日もう勘弁してくれと言われるまで母と長電話したり。

そのころに比べると俺は少しはましになったんだと思っていた。父が亡くなったとき、母に「二人で生きていくべ」と言われて嬉しかった。その母も去年亡くなってしまった。

オンラインで学生時代のバンドを再開してアルバムを4枚作ったが、YouTubeにフルでアップしてもほとんど誰にも聴いてもらえない。その間に狂ったように音楽制作用のプラグインを買いまくった。何か夢中になるものが欲しかった。何かを残したかった。どうして聴いてもらえないのか、いくら考えてもよく分からなかった。そもそも聴いてもらえてさえいないのだから評価も何もない。なんだか陽太郎と山崎に申し訳ない気がずっとしている。

カタギの仕事が決まってから、ずっと韓国ドラマを見ている。誰かが幸せになる話を延々と。それに涙する。なんだかそれしか出来ない。ワンコーラス殴り書きした曲もそのままだ。何しろ体力が一番不安だから、毎日スクワットはしている。夜は中央公園に行って一周歩いてくる。公園で煙草を二本吸う。

俺はなんでこんなことを書いているんだろう? 俺が長い間休んでいる間に、世の中は変わってしまった。グーグルマップで通勤経路とキロ数を簡単に提出できるなんて知らなかった。友人知人が一体この間に何人鬼籍に入ったんだろう? いつの間にか、もしかしたら自分は長生きしている方なのかと思ってしまうくらいの人数だ。

30数年前、雲母社を辞めるときに、毎年アルバムを1枚レコーディングして30年過ごすことが容易に想像出来たので辞めた。30年後にこうなっていることなんて想像は出来なかった。しかし、10年後、5年後、1年後、いや5分後ですらどうなるかなんて誰に分かるんだろう?

もう深夜2時を回ったので、「涙の女王」の最終話は2時間近くあるので明日見ることにしよう。

なんだか誰かに宛てた遺言書を書いているようだ。俺の遺作だと思ってアルバムを聴いてくれ。

最後に一言だけ書いておくと、「涙の女王」は最高だ。見るべき。長い話だけど。

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