さよなら、カメさん

昨夜セルシンを5mgだけだが飲んだせいなのか、目が覚めたのが9時半、起床は10時過ぎ。寝たのは12時ぐらいだと思ったが……どうしてこう寝過ぎるのか。

ここ数日、痛いほど快晴だ。午後、僕はダウンジャケットのポケットにカメさんを入れて、駅のホームにいた。電車が来て、かつて住んでいた隣の武蔵浦和で降りる。スクランブル交差点を渡り、川に繋がる用水路があるところまで来て、カメさんを放す。外来種だからホントはいけないのだけれど。これ以上大きくならないし、生命力が強いからきっとここでも生きていけるだろう。よくよく考えた末、カメさんを山形には連れていかないことにした。東浦和に住む学生時代の同級生に預けることも考えたけれど、この先、下手をすると20年近く生きるものを安易に頼むことは出来ない。僕の行為は無責任に思えるかも知れないけど、それでもこれは散々考えた末のことなのだ。これがベストの選択であるかどうかは僕にも分からない。

今日の弟の話からすると、母の被害妄想はますます酷くなっている。症状としては、統合失調症に近い。この先、カメさんを育てるどころか、僕自身、どうやって生きていけばいいのか、ともすると途方に暮れてしまう。天気予報によると、よりによって明日の夜から引っ越しをする明後日にかけて、また雪が降るらしい。35年に渡る僕の首都圏での生活も残すところあと1日半だというのに、僕はそのカウントダウンに一切のセンチメンタリズムを覚えない。正直、そんな余裕はどこにもないのだ。現実とは、どうしてこうも苛酷なのだろう。そして、僕らはそれを避けて通ることは出来ない。

10年間ありがとう、カメさん。そして、僕の誕生日にカメさんを買ってくれた元妻。僕はいずれ彼らも忘れてしまうのだろうか。それが生きるということなのだろうか。いや、たぶん僕は忘れないだろう。僕は必ず思い出し、そして今のようにちょっと胸を痛めるのだ。

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