狂気

今の母の居場所は狂気に他ならない。自分の母親が狂ってしまったら、一体どうすればいいのだろう?

2時半就寝、6時45分起床。珍しくそれほど悪くない夢を見た。9時半に歯医者なので、それまで次に紹介しようと思っているRobert Glasperを聴いて過ごした。銀行に寄ってから歯医者。歯医者は一応今日で終了。それから母のズボンを買いにショッピングセンターに行くが、ドアが開かない。見ると、10時開店だったので、先に業務に赴く。

6時間後、再度ショッピングセンターに行き、店員にゴムのズボンを4つ選んでもらった。それを持って母の病院に行くと、まず看護師から説明を受けた。今日から病室を変えたという。話を聞くと、足がむくんでいるのに歩き回るので、3人部屋に移してベッドに拘束しているという。

母の新しい部屋に行くと、看護師が拘束していたベルトを外した。母の目つきは明らかにおかしかった。怖い目つきだ。確かに足がむくんでいて、左の足首から先は鬱血して真っ赤になっていた。母の話は明らかに狂っていた。もはや、入院前後よりも酷い。例によって、入院費が何千万も何億もかかると言う。手足が切り落とされると言う。それを病院は楽しみにしていると言う。一番困っているのはシャツがないことで、自分は裸だと言って、お前も裸だと僕に向かって言う。いくら言っても話が分からないと言って僕を叩き、僕の足を蹴る。今日の母は誰が見ても完全に狂っていた。拘束は足のむくみだけのせいではあるまい。もう何を言ってもどうしようもない。僕には母を助けようがない。

帰宅して、幽霊のような足取りで裏の老人の家に回覧板を置いてくる。それから、叔父と叔母に電話して、入院時より酷くなったことを告げ、しばらく行かないように言った。弟の奥さんに電話して、弟が帰宅したら電話をくれるように頼んだ。

夕食後は案の定手が痺れてきた。今の状況をどう把握していいのか分からない。自分の中に、母をどう置いていいものか分からない。誰かに助けを求めたいが、真っ先に思い浮かぶのは父と母で、父は死に、母は狂った。誰にも助けを求められないし、誰も助けてくれない。I泉さんとHに電話してみるがどちらも留守電だった。何かをして気を紛らわすことすら出来ない。しょうがないので書斎のソファで寝ようとしたが、なかなか眠れない。少しうとうとしかけたところで、Hから電話。しかし、話しているうちに気がつくと僕の置かれた状況を理解出来ていないとHを責めていた。そんなもの、理解出来るわけがないのだ。

いつの間にか、僕は物事が最悪の方向に転がることに少しずつ慣れてきている。確かに今の僕は酷い抑うつ状態ではあるが、自分で思っているほど精神的に弱くはないようだ。今の僕の状況では、絶望しない方が無理があるだろう。もっと弱い人なら、自ら命を絶つか、自分もおかしくなってしまうだろう。だが、僕はそうなってはいない。少なくとも、今のところ。

夜も更けてから、弟から電話があった。話しながら、もしかして敢えて話すこともなかったかも知れないとも思った。ただ弟を落胆させるだけではなかったかと。弟はなるようにしかならないと言っていた。その後またHと電話で話したが、そのころには僕はある種の諦観のようなところに辿り着いていた。結局のところ、センチメンタリズムは何も解決しないし、辛くなるだけだ。誰かに助けてもらおうと思うことも同様。いかに自分が受け入れて、いかに自分が在るか、それだけだ。

今日の煙草は18本。もう大分夜も更けた。もう風呂に入ろう。


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