伊藤計劃「ハーモニー」

昨日2時間半も昼寝したせいか、6時に目が覚めてしまう。もちろん、2度寝を試みるがすぐに目が覚めてしまい、3度寝で諦めて起きるも、物凄く眠い。これでまた寝てしまうと今週の習いで昼近くまで寝てしまいそうなので、久々に朝のドトールに寄った。店内の席は空いておらず、外のテラス席で眠気覚ましのエスプレッソを飲む。


テラス席から見る風景。

夕方、業務終了後、このところ毎日なのだが恐怖心に近い強い不安感と痺れ。帰宅して新旧頓服を飲んで1時間ほど気絶してリセットする。少しはマシになる。

伊藤計劃「ハーモニー」読了。以前ちょこっと書いたように、擬似HTMLのスタイルで書いてあるが、基本的にはギブスンの「ニューロマンサー」における黒丸尚の翻訳文体。前半はそのスタイルが先行していて、回想部分が多く、スピード感がないが、途中から急に面白くなる。で、半分ぐらいまで読み進んだときに、これはとんでもない傑作なのではないか、と思ったのだが、読み終えてみるとその期待は裏切られた。これもプロットの骨子は前作「虐殺器官」と同じ。コンラッドの「闇の奥」だと思うが、もしかしたらアニメの「甲殻機動隊 GHOST IN THE SHELL」かもしれない。世界全体をディテイルまで構築しているのは素晴らしいのだが、物語性がついていかない。いい意味で予想を裏切ってくれなかった。予定調和。なので、「虐殺器官」のときも書いたと思うが、着想はいいのに語り切れてない。スケールが大きいようで、実は物語の進行していく世界は思いの外狭い。それは別にいいのだが、途中で期待が膨らむだけに最後にカタルシスがないのは残念だ。早逝して故人になってしまったのでもう書けないのだが、このスタイル、文体と特定のプロットへの固執から脱皮できたらどんなものが書けただろうか、などと思う。たぶん、作者にはどうすれば読者を欺けるか、という発想が足りない。とはいうものの、それでも面白いんだよ。それだけに物足りなさを覚える、というだけ。

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