不思議なもので、ギリシャ戦があるということでアラームが鳴る前、6時前に起きた。お蔭で久々に朝ゴミを出すことが出来た。
というわけで0-0のスコアレスドローに終わった日本×ギリシャの意味を考えてみる。大方の人同様、僕も試合後は非常に脱力した。結果にがっかりもした。しかし考えてみれば負けたわけではないのである。いつの間にか、気がつくと僕らはベスト8という幻想に取りつかれていたのではないか。本田や長友の優勝を目指すという言葉、歴代最強の戦力、海外組が大半を占め、しかもビッグクラブに所属している選手が3人もいるということで、知らぬ間にグループリーグを突破して当たり前と思っていなかったか。確かに現代表は絶好調時はイタリア、オランダ、ベルギーといった国と対等に戦える力がある。しかしながら前回優勝でFIFAランキング1位のスペインも2敗でグループリーグ敗退、イングランドも既に2敗。前回優勝国がグループリーグで敗退するなんてことは珍しくない。W杯とはそういう大会なのだ。
いくらFIFAランキングが当てにならないと言ってもギリシャはランキング12位、ユーロで優勝したのもそんな昔の話ではない。コートジボワールにしても23位、日本は46位である。コートジボワールに対しては最低の出来で1-2というスコア、しかも3分間我慢すれば勝てたという試合。さらに格上のギリシャに対して、ポゼッションでは7割と圧倒して勝って当たり前という試合をした。つまり、僕らは恐らく過度の期待をしていたのであって、ここまでの結果は日本のコンディションを考えると最悪ではない。ただ歴代最強という幻想に取りつかれて失望するという構図がどこかドイツW杯に似ているだけだ。普通に試合してオーストラリアに1-3で負けたりしたわけではない。
試合を振り返ってみると、先発は香川を外して大久保、森重の代わりに今野、あとはコートジボワール戦と同じという布陣、岡崎をいつもの右ではなく左にして、前回やられた左サイドの守備をテコ入れした感じ。試合の入り方は今回は悪くなかった。前線からの守備も出来ていた。それが7割前後のポゼッションに繋がった。ギリシャの1トップが怪我で交代、おまけに早々とカツラニスが退場で10人になり、ギリシャはすっかり守備的になり勝つ気あんのか、っていう引き分け狙いの試合になってしまったのが一番大きいが。前半は日本もそれなりに攻め、1トップの大迫も惜しいシュート2本、そんなに悪くなかった。後半になって例によって長谷部に代えて遠藤投入、大迫に代えて香川。サイズでは勝てないギリシャ相手に筋は通っている。香川は前回よりも若干よくなったが決定的な切れ込みやシュートは見られず、遠藤もさして効果的にはならなかった。最後はこれまた例によって吉田を上げてパワープレー。これに関して、どっちにしても高さでは勝てないのだからドリブラーを入れるべきだったという論調が試合後に散見されたが、これはナンセンス。前回起用されたときにまったく消えていた斎藤学よりもドリブルやシュートだったら経験値も含めて香川の方がずっと上、それを言うなら香川がドリブルして切れ込んでシュートを打てばよかったのだ。総じて、パスは回せるけれども決定力に欠けるという、かつての日本代表のもどかしい姿がそこにあった。ここぞというばかりに交代枠を1つ使わなかったザッケローニに批判が集まっているけれど、いまさら何をという感じだ。サッカーをするのは監督ではなく選手である。なんでもかんでも監督の采配のせいにするのはいつの時代も変わらない。
ここまでの2戦を見ると、若干内容は上向いている。スペインが敗退したことを受けてパスサッカーの時代が終わったなどという輩もいるが、今日の試合で言えばポゼッションこそ高かったがそこまでパスが好調時のように回ってはいなかった。つまり、日本のパスサッカーを完遂するまでには至らなかった。いまさら守ってカウンターのサッカーをする意味などどこにあるだろうか。そんなことをするのなら、永井とか宮市のようにとにかくアホみたいに速いワントップを呼ぶか、高さのあるハーフナーを残すかしているべきだが、そんな声はどこからも聞こえない。つまり、結果だけであれこれ言っている意見には1本筋が通っていない。ここまでのところ、懸念されていたほど日本の守備は崩壊していない。結局、闘莉王待望論というのはなんだったのだろう。とにかく、この期に及んでああだこうだ言っている連中よりもザックの方がよほど首尾一貫して筋が通っている。もはややり通すしかないのである。
若干上向いたとは言え、この2試合を見て敗因(今日は負けたわけではないが)を探すとすれば、日本の誇るビッグクラブに所属している3人の不調だろう。加えて、直前まで絶好調だった岡崎の不振。一番大きいのはミランで10番をつけている本田、マンチェスターユナイテッドの香川、インテルでキャプテンマークを巻くことすらある長友、この、日本の攻撃に於いてもっとも重要である3人が本調子にないということだ。本田に関してはミランでのパフォーマンスもよくなく、フェンロ時代から考えるとパフォーマンスは右肩下がりで落ちているように思えるほど精彩がない。香川はマンUに移って出場機会も減り、チームのプレースタイルも合わないという1年を過ごしたのが大きい。解せないのは長友。一番体力も持久力もあってクラブでのパフォーマンスにもムラがない長友が本来の精彩を欠いているのはどういうわけだろう。結果論で言えば香川はドルトムントに残るべきだったし、本田はミランで10番なんてつけるべきではなかった、ということになる。だがそんなことをいまさら言ってもしょうがない。実際問題として、このメンバーでコンフェデでイタリアを凌駕するサッカーをし、アウェイでオランダと引き分け、ベルギーに勝っているのだから。とまあ、こういう風に話を巻き戻していくと切りがないのだけれど、要するに今日の本田・香川はフリーキック以外でシュート打ってないでしょ、ということ。次のコロンビア戦は本田・香川・長友・岡崎という4人がどこまで本来の働きを出来るかにかかっていると思う。
話を元に戻すと、この2試合に関して言えば内容を考えると試合結果はそれほど悪くない。たらればの話をすれば、初戦のスタートが今日ぐらいだったらなあという感じ。サッカー自体は上向いている。ただ、まだマイナスの状態ではある。何度も言うけれど、いたずらに悲観するのは過度の期待のせいだが、かといってこれが現代表の実力というわけではないと思う。とにかく最悪の結果ではここまでない。チームとしての出来は確かに酷い。だが悪い材料ばかりではなく、例えば怪我で長期離脱していた内田がこの2試合思いの外好調だし、ボランチの山口もいい。守備陣もここ最近を考えればもう4失点ぐらいしててもおかしくないのに、2失点で抑えているのは上出来の部類。点が取れないのがすべて。問題は攻撃陣だ。せめて岡崎と遠藤が普通なら内田・山口が好調なだけにかなり違うだろうと思うのだが。
そんな感じで次のコロンビア戦、グループリーグ突破のためには2点差で勝つことがマストだが難しいだろうな。攻撃陣が上向いて絶好調時のパフォーマンスを見せて勝ったとしても3-2とか4-3とかそういうスコアになると思う。2-1で勝てば上出来。ギリシャが1-0でコートジボワールに勝ってくれるのを祈るばかりだ。そうすれば2-1でも1-0でも勝てばグループリーグ突破出来る。しかし、今日のギリシャを見ていると、いいとこ0-0の引き分けだと思う。ということは、やはり2点差以上で勝たなければならない。日本×コロンビアとギリシャ×コートジボワールが同時刻開催というのは興を削がないのでまだまだスリリングな試合を楽しめるというわけだ。それだけでも有難い。いずれにしても本田・香川・岡崎・長友、この4人の出来がすべてと言っても過言ではない。4人全員が最高のパフォーマンスをして初めて、歴代最強の戦力と言えるのである。
——————————————————————-
なーんて長々と書いてしまったので日記は省略といきたいところだが、今日は最近にしては異常に早起きしたのと、結果に脱力したせいで昼に1時間、夜に1時間半昼寝してしまい、世界から取り残されてる感半端ない。妙に力が入らないし物凄い運動不足感満載なのだが、かといって何か出来そうな気がしないし実際出来ない。ダルい。例によって「ツイン・ピークス」だらだらと見ているだけでなんでいつの間にかこんな時間になっているのかよく分からない。実際問題として、ほぼ何もやってない。相場は裏目ってとうとう3連敗。一週間逆戻り。しかし以前のように状態突入しているわけではなく、3日間でかつての大敗1日分ぐらい、そういう意味ではリスク管理に関しては多少の進歩が。