星を継ぐもの

ジェイムズ・P・ホーガン「星を継ぐもの」読了。うーむ、これが創元SF文庫の読者投票で1位というのは。70年代までに書かれたもので、というのなら話は分かるが。面白くないわけではない。むしろ面白い小説だとは思うが、一昔前のSF小説にありがちな状況設定、すなわち宇宙だ宇宙人だ恒星間飛行だというものが前面に出てくれば出てくるほど鼻白むのは致し方ないのか。僕は中学から高校にかけてSF小説を読みまくった時期があったのだが、そのころと今は小説というものに向き合うスタンスが変わっている。リアリティよりも荒唐無稽さが前面に出てしまうとどうしても違和感を覚える。この小説はストーリー構成自体はむしろ謎解きのミステリになっている。ただその舞台設定がSFだというだけだ。こういった、SFならではの、というか、SFたらしめるための設定をすべて無条件で受け入れるのであれば、むしろ読みながら何度もカタルシスを得ることは出来る。ただ、そういった条件つきの小説が果たして小説的リアリティを持っているのか、ということになると話は別だ。そういう意味ではむしろ伊藤計劃の小説の方が小説的リアリティがあった。そんなわけなので、かつてのSFファンとしてもこれが傑作であるとは言い難い。

今日は早めに業務を切り上げたので、運動のために隣駅から歩いて帰ってみた。例の震災の日と台風の日とおんなじルートで。トータル1時間の行程は今の僕にはちょっときつい。45分歩いてへばってしまい、駅前のスーパーで買い物をした後、遊歩道のベンチでしばし休息を取らざるを得なかった。急に長い距離を歩いたせいか、夕方、ジノ・ヴァネリを聴きながらアルバム2枚分ほど昼寝。夜はまたしても精神的にちょっと煮詰まり、ロックが聴けなくなってしまったので、もっぱらジャズを聴く。

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