水曜日。
この日記は大体の場合日付が変わる深夜に書くので、表記上は投稿日の前日の日記になることが多いのだけれど、今日の場合はさらにさかのぼって昨夜から書かねばならない。というのも、昨夜日記を書いた後に酒を飲んで酔っ払ってしまったのだった。
僕はまったくの下戸である。アルコールは一滴も飲めない。そう自覚してからは仕事上の付き合いでも一切酒は飲まずに来た。もう長いことアルコールの類は飲んでない。せいぜいが洋酒入りのチョコレートをたまに食べるぐらい。コップ一杯のビールでも頭ががんがんになるし気持ち悪くなる。なにしろかつて夜ビールを飲んでトイレで小用を足していて30分ほど気絶してしまったことがあるし、渋谷の喫茶店で当時の彼女と洋酒入りのケーキを食べて顔が真っ赤になり物凄く気分が悪くなったほどだ。要するにアルコールを飲むとただの具合の悪い人になる。まったく飲めない。
と思っていた。昨夜までは。
ところが飲めたのである。しかもいい感じに酔っ払った。こんなことは前代未聞だ。僕という人間は悪酔いしかしたことがなかった。酔って気分がよくなった試しがない。飲んだ途端に二日酔いしてしまう人間だったのだ。
どうも台所の流しの下にある戸棚の中の、母の作った梅酒が気になっていた。その辺にたくさんある一升瓶の日本酒(葬式でもらった)とか冷蔵庫の中の父の発泡酒とかはまったく飲みたいとは思わないのだが、何故かこの梅酒は飲んでみたいと数日前から思っていた。それでとうとう、昨夜寝る前にロックにしてちょびっと飲んでみたのである。何しろ梅酒などというものをほとんど飲んだことがないので、最初はこれが梅酒なのかそれともただの梅干しを漬けておいたつゆなのかよく分からなかった。ところがちょっと飲んでみると美味しかった。なのでもうひとくち飲んでみる。するとなんか止まらなくなった。それほど美味しかったのだった。そのうちなんか酔っ払ってきた。やはりこれは梅酒だったのだ。そろそろ頭痛が来るぞと頭の中では警戒しているのだがどうにも止まらない。それで不思議なことに頭痛も来なかった。あまり図に乗ると後で酷い目に遭うのは明白なので止めたが、2階の自室に上がって布団に入って本を読み始めるとなんかいろんなことすべてがめんどくさいという感じになった。ああこれが酔っ払うということなのかな、と。
とまあそれだけの話なのだが、なんか父が毎晩晩酌していた気持ちが少し分かるような気がした。妙に旨かったのでこれが癖になるといかんなあとは思うものの。それで、いつものように睡眠薬を2錠飲んだのだが、アルコールと睡眠薬を一緒に飲むと記憶が飛ぶと言われているがそんなことはなかった。だが何故かいつもより寝付きが悪かった。
前置きが長くなったがここから今日の日記。
朝8時45分に目が覚めると外は雪景色だった。そんなわけで朝食後に雪かきをした。
大して積もっていたわけではなかったが久々の雪かき、それなりに疲れた。そのせいか、また午後になって台所のテーブルに突っ伏して涎を垂らして少々寝てしまう。外はときどき小止みになりながらもしんしんと雪が降り続いていた。夕方から雪は次第に雨に変わり、夜になって融けた雪が屋根から落ちるどすんという音がときおり聞こえる。今は雨だがこれもまた明け方には雪になって積もるのだと思う。当分雪の予報だし。とうとう雪に塗り込められる季節になった。
そんなわけなので夕食後に母のところに行った以外は終日台所に閉じ籠り、それなりに煮詰まった。今日の母は昨日とは打って変わって僕が話しかけるとことごとくちゃんと返事が返ってきて、もちろんそれは嬉しいことなのだがもしかしたら昨日少々僕が説教したことが頭にあるのだろうかなどと気になったりもする。
夜は相場。今日は夕方から夜にかけてだろうとは思っていたが、何しろ午前中から日中にかけてまったく頭が回らなかったせいもあり、あまり考えないで夕方思いつきで取ったポジションが引き金となって裏目裏目と張ってしまう結果に。というわけで一敗地に塗れる。どうもこういうときというのは、いつもの大勢順張りということすら忘れてしまう。ある種魔が差すのだろうか。なかなか上手く頭が切り替わらなかった。失敗を明日以降引き摺らないようにしたいが。
という感じで昨夜飲んだ梅酒の味がどうも忘れられず、これは下手をすると毎晩飲んで酔っ払ってしまいそうだと心配していたのだが、今夜のところはコーラで我慢している。実は昨夜の残りをひとくち飲んだりはしたのだが。ただでさえ煙草が止められないのだから、この上に酒まで飲むようになってしまうと、先々我慢しなければならないものが増えてしまうような気がして。