火星の人

2月10日、火曜日。

アンディ・ウィアー「火星の人」読了。非常に評判の高かった本で、実際よく出来ている小説で面白かった。がしかし。大半を占める主人公の独白があまりにも軽い。アクシデントで火星にただ一人取り残されるという深刻な状況にいるのに、あまりにもお気楽でハイなのだ。口語体を原文の雰囲気のまま訳そうとした試みは分からないでもないが、この辺は欧米人と日本人のノリの違いというか、テンションの違いのようなものを違和感として感じてしまう。偶然ではなく必然の積み重ねで主人公が窮地に陥るという作者の用いた手法は実に正しいし、火星でのサバイバルが科学的にも緻密に書かれているのだが、そのシリアスなディテイルとは裏腹にあまりにも楽天的な主人公が軽薄に見え過ぎてしまう。ユーモアがてんこ盛りなのだが、てんこ盛り過ぎてサバイバル・コメディの体を成している。なので最後まで読み切った読後感もなんか内容の割には軽い。それと、専門用語がカタカナでなんの説明もなく頻出するのも気になった。ウィリアム・ギブスン作品で黒丸尚がやったように、もっとルビを使うようにしたらもう少し分かりやすくなったと思う。要はアメリカン・コメディ的なハイなアメリカ人のノリをあまりにもそのまんま日本語に置き換えたので読んでいる日本人の読者である(テンションがやたらと低い)自分との落差、カルチャーギャップみたいなものが気になった。言い方を変えれば深刻な話なのにお気楽に読めるし、長い小説なのに読みやすくすいすい読める。なんか褒めてるのかけなしているのか分からなくなったけれど、いろんな意味でオタクな小説であるとは思う。

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今日は世界が雪に埋もれる。朝食後に1回目の雪かき。ときどき小止みになるものの、油断するとまた凄い吹雪みたいになったり。日中は結構な勢いで雪が降りしきっていた。そんなわけで午後に2回目の雪かき。今日は午後泌尿器科の予約が入っていたので3時ごろに行ったら前代未聞に混んでいた。かといって、吹雪いてる中を来たので出直す気にもなれず、本(シーラッハ「禁忌」)を読もうと思ったのだが物凄く眠くなり、結局ひたすら待合室で舟を漕いでいた。気がつくと1時間半も待たされた。終わって処方薬局で薬を受け取って帰るころにはもう5時近かった。ところで、なんで泌尿器科に通っているのかというと、トイレがやたらと近いからで、軽い前立腺肥大と診断されて薬を飲んでいる。トイレが近いのはとにかく四六時中飲み物(それもコーヒーとかの利尿剤的なもの)を飲んでいるせいもかなりあるとは思うものの、それはそれで抗うつ薬として飲んでいるドグマチールとかの副作用で口が渇いたり、あるいは煙草のせいであったりもするのだろうが、ただ前立腺肥大という病名をつけられると通わずにはいられないわけで。で、薬を飲むようになってから大分経つけれどもいまだにトイレの近さは解消されていない。というわけで今日からまた薬がひとつ増えた。

本日の相場は昨夜指値しておいたのが寝ている間に成立、それを夕方まで引っ張っていい感じで利食い出来たので後は乱高下っぽいところもあり無理しなかった。これで昨日の大敗分を7割5分方ぐらい取り戻した。昨日やたらとバタバタとポジションを取り過ぎてしまった反動か、今日は必要以上に慎重になって消極的になったかも。

夜は久しぶりにhuluで「ブリット」の続きを最後まで見た。ホントにこの映画はディテイルをよく覚えている。たぶんもう4回ぐらい見たのだろう。中堅どころの印象が強いピーター・イェーツ監督作品らしく、けして大傑作というわけではないのだけれど、ティピカルな刑事もののツボを堅実に押さえた映画ではある。

さっき玄関の鍵を閉めるついでに外を見たらどうやら今は雪は止んでいるようだが、一日中雪が降って道路がすっかり圧雪路になってしまったので除雪車が入る可能性大。どっちにしても明日も雪かき。明日は祝日だし、母の様子を見に行きたい。なのであんまり今日みたいにどかどかと降らないで欲しいのだが。


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