雨あがり

7月15日、水曜日。

三度寝をしてなんとか7時間睡眠を確保。今日も朝から暑かった。午前中は何もしていない。業務に涼みに行くのが不毛だと思ったので控えはしたものの、かといって何ができるわけでもなかった。相場のチャートを見てなんとなく指値を置いて、ツイッターのタイムラインを追っていると安保法案の話題で持ち切りだったので、僕にしては珍しく(世の中についていこうと思った)ネットで国会中継を見た。そもそも安保法案のなんたるかもよく分かっていなかったのでググって読む。要するに集団的自衛権の行使を可能にするということか。この大事な審議を何故かNHKは中継をしていなかった。ネット中継はやがてアクセスが集中してパンク、そのころから妙に身体がだるくなってきた。中継も途切れてしまったので、正午ごろになってあまりにだるいのでソファに横になったら、夢も見ずに1時間ほど気絶した。

目が覚めると、安保法案は強行採決されていた。まったく茶番だ。こうなることは最初から分かっていた。しかし、野党議員全員が決議を拒否あるいは退席したのはどうなのか。多数決でかなわないにしても否決の意志を示すべきではなかったか。

1時間の気絶でだるさはなんとか取れた。それ以上に、夢も見ずに1時間眠れたということが何故か救済のように思われた。一日のなかのただの1時間の空白でしかないにも関わらず。卵かけご飯の簡単な昼食を済ませるものの、午後になっても相場はなかなか動かず入り込む隙がない。また、入り込む勇気もない。今日は4時に精神科の予約があるので無理にポジションを取る気にもなれない。

何もしないままじりじりと時は過ぎていき、4時近くになった。精神科に電話すると少し押しているので4時20分に来て欲しいとのことだった。なので煙草を吸って時間を潰す。そうこうしているうちにアマゾンに注文しておいたカシオのデジタルウォッチが届いた。電池交換よりも安い1200円の代物だが(見てくれもそれなりだ)なんか嬉しかった。新しい腕時計を身につけ、説明書を持って精神科に赴く。

待合室で腕時計の時刻を合わせたりしていると診察に呼ばれた。このところの煮詰まり加減、やる気のなさ(実際何も出来ない)、自律神経の不調っぽい体調の悪さなどを話すが、もうすっかり医者としては手の打ちようがない状態になっている。医者の話によると、僕の場合は典型的なうつ病の症状でもなさそうだということだ。磁気治療とか電気ショックとか、入院がどうこうとかあまり現実味のない話になっていく。つまりは、医者としての手段も見いだせないが、話のネタも尽きてきたということである。治療というよりは、精神疾患に関する世間話を医者としているような気がしてくる。最近の僕は度忘れが多くて記憶力がひどく落ちた気がするし、判断力が落ちて昔と比べると恐ろしく頭が悪く馬鹿になっている気がしていたのだが、精神科医が言うには僕の会話のレスポンスはなんらそういったところは見当たらないということだった。そろそろ話のネタも尽きて時間も大幅に伸びたころ、気になっていた傷害年金の話を出した。昔年金事務所に問い合わせて年金の納付条件を満たしていないと言われたのですっかり諦めていたことなのでダメ元での相談である。すると、100%ダメだと思っていたのが、どうやら半々ぐらいの可能性はありそうだというのである。それで、後日ケースワーカーと相談することになった。初診の問題とかあるのでまずダメだとは思うのだけれど、万が一もらえたらこれはもうけものだ。あまり期待してはいけない。

精神科の帰りにスーパーに寄って買い物をして帰宅。今日はずっと曇り空だったが、スーパーの駐車場で雨滴がぽつりと落ちてきた。遠雷の音が聞こえる。煙草を一服して母のところに行く。今日も母の表情はよかった。落ち着いた顔に見える。1時間ほどいて特養の玄関を出ると、雨が本降りになっていた。

先ほどスーパーで買った500円の刺身で夕飯を食べながらJリーグの横浜対柏の試合を見る。結局相場は入り損ねたままだ。試合が終わり、BSのJリーグタイムを見ながら夜の指標の結果を見てポジションを取り、すぐに利食い。結局今日の相場は小遣い程度。

夜半には雨は止んだ。しかし、久しぶりに一雨降ったので今夜は涼しくなった。なんとなく久々に鍵盤に向かってみる。鍵盤を弾くのは何か月ぶりだろう。下手すると半年ぶりぐらいかもしれない。たぶん全然弾けないだろうなと思ったら、思ったよりも案外と弾ける。難しいキーでなければ簡単なスタンダードナンバーのバッキングならなんとか弾けそうだった。ちょっと不思議な気がする。どうせ思うように弾けないと食わず嫌い的に悲観的になっていたのが最近鍵盤にまったく向かわない理由だったから。やってみるものである。

台所に戻ると、何やら花の香りのような匂いがしてなんだろうと思った。するとそれは、窓を開けているので恐らく雨あがりの匂いなのだった。安保法案の強行採決という憂鬱なことから始まって、ほとんど何も出来なかった一日だけれど、なんとなく今日という日はそれなりにいいことがあったような気がする。夢を見ない昼寝、新しい時計、傷害年金のわずかばかりの可能性、母の表情、鍵盤、夜の涼しさと雨あがりの匂い。

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