7月16日、木曜日。
朝寒くて目が覚めるという驚くべき事態。涼しいのは結構なことなのだが。それで枕元のiPhoneで時間を確かめると、元妻からLINEでメッセージが入っていた。結局それが気になって8時台に起きてしまう。昨夜寝たのは2時過ぎなのでこれでは睡眠が足りない。
元妻のメッセージは、悪徳商法に引っかかって解約するのに全額を払わなければならないという。よく分からないが消費生活センターにまず問い合わせるように言ったが、個人では駄目ということでそれでは弁護士に相談するしかないだろうというと、弁護士も書類が揃っていては無理という話だった。会社名をググってみたところ、どうやらホームページの保守とかをやっている会社らしいが、どういう契約だったのかよく分からない。
結局午前中は眠くてどうにもならず、ソファで2時間寝てしまう。今日はつらつらと何やら夢を見てしまったのでいまひとつすっきりしない。それで眠気は取れたのだが、昼寝したらかえって身体が物凄くだるくなってしまった。どうなることかと思ったが、納豆と冷奴、それに梅干しで昼食を摂ると、少しはだるさがましになった。その後は夕方まで相場。方向の読みは当たっていて5時前に利食いしてしまったが、結果論としては夜まで放っておけばよかった。それはしょうがないのだけれど、うっかりしていてストップを2度くらったのが余計だった。だがまあそれなりに日当は出る。
今日はぐずついた天気のせいか涼しかった。母のところでニュースを見たところ、気温は25度に届かなかったらしいので当然なのだが、そこまで涼しい感じがしなかったのは湿度が高かったせいか。母は今日も比較的落ち着いていた。
夜になってどうにも元妻のことが気になってきた。一体どういうことだったのか訊いてみようと思って電話してみる。それで久々の長電話になった。まず話を聞いて驚いたのは元妻がまた離婚していたということ。これでバツ3だ。なんという懲りない人なのだろうと思う。元妻は一昨年辺りから猫カフェを初めていたのだが、どう考えても上手くいきそうにない商売、話を聞くとやはり自転車操業になっているらしい。おまけに離婚してしまったものだから全部一人でやっているというから無茶な話だ。悪徳商法云々に関してはあまりにも愚かで呆れ果てるしかなかった。どうやらプロモーション用のアプリを5年契約で買ったらしい。それも総額90万以上になるというのだから開いた口が塞がらない。大体において、そんなもので埼玉の住宅街の片隅の猫カフェが繁盛すると思うこと自体がどうかしている。元々彼女は極端な気分屋で、気分やノリでやってしまうからこういうことになる。この期に及んでどうやら本人も自分の愚かさに気づいたようだが、時すでに遅し。銀行に借金までしているらしいから、どうにもならなくなったら破産宣告するしかないというアドバイスしか出来なかった。今の僕にしてやれることは何もない。
長い電話を切った後もしばらく元妻のことが気になった。かつて僕と結婚していたころはそれなりに人並みに仕事をしていたというのに、どうしてこんな風にのっぴきならないところまで深みにはまってしまったのだろうか。彼女はただ猫が好きというだけのことで人生を棒に振ろうとしているではないか。もはや他人事でありながら、あまりにも愚かで気が滅入る。何もしてやれないことがひどく気になる。こんなことなら電話しなければよかったと思う。常日頃、いかに自分が愚かな人生を送ってきたのかと後悔することしきりなのだが、彼女はまさに今、愚かさのピーク、真っ只中にいるのである。彼女は人並みの体力はあるし、僕よりも精神的な切り替えは効くはずだから、なんとか立ち直って欲しいと思う。
そんなわけだから夜は相場をやる余裕はなかった。自分のことで手一杯、正直生きてるだけで一杯一杯なのに、どうして人のことまでこんなに気になってしまうのだろうか。もはや顔もろくに思い出せないというのに、なんだかんだいってやっぱり元夫婦だということなのか。それに実に奇妙なことだが、自分のことさえ救えないのにも関わらず、人のことは救ってやりたいなどと思うのだった。なんていうか、いろいろ因業だ。