5月4日、月曜日。
夜、悪意に捕らわれた。以前例の彼女に歌詞をけなされたことを夕食後にふと思い出したのだ。許せなかった。彼女は創作ということをまったく分かっていない。凄まじい嫌悪だった。憎悪といってもいい。怒りはなかなか自分の中から抜けなかった。「ZETMAN」の4巻を読み、より一層酷い話を読むことによってなんとか立ち直ったが、抜けるのにかれこれ3時間ばかりかかった。何かというと昔の女の歌詞を書いたという根拠のない彼女の狭量さが、結局は自分自身の狭量さとして襲い掛かったのだった。一旦克服して治まってみると、なんであれだけの怒りに自分が包まれていたのか少しばかり不思議に思える。まあそういったある種の言いがかりをつけられたのは一度ばかりではないからおよそ無理もないとは思うが。
陳浩基「13・67」読了。
陳浩基「13・67」、まさに圧巻だった。自分は本来いわゆる本格ミステリのリアリティのなさに興味が薄れた読者であったが、この連作中編には文句なしのカタルシスがあった。とかくなりがちなトリック偏向に陥らず、それでいてトリックのカタルシスと人間を描くことを両立させた稀有な作品。
— Sukeza (@anykindoflove) May 3, 2020
正直言って以前読んだ「世界を売った男」はいまひとつだったのでそれほど期待していなかったのだが、とにかくよく出来ていた。久しぶりに買ってよかったと思えた本だった。いわゆるところの本格物で面白いと思ったのは一体いつ以来だろうか。