引越し:朝書く日記

今は引越し当日から一夜明けた水曜の11時、ようやくネットが繋がったので忘れないうちに昨日の日記を書いておこうと思う。

忘れないうちに、と書いたものの何時に起きたのかは忘れた。9時過ぎぐらいだったか。朝食後、まずは浦和に行って新しい部屋の鍵とインターネットの申し込み。このころは小雨がぱらついていた。引っ越し屋が来るのは2時から5時の間、と非常にアバウトなため、パルコのカフェでのんびりとサンドウィッチのランチを食べていると引っ越し屋から電話があり、早く行けそうだというので、まだ荷物の箱詰めが完了していなかったこともあり、タクシーで戻り慌てて残りの箱詰めを済ませると2時ごろに引っ越し屋が到着、さすがはプロ、手際よくさっさと荷物をトラックに積んで行き、1時間ほどで積み込み完了。驚いたのは2人のうち1人は60代を思しき年配の人だったが、僕がひとつ持ち上げるのにもふうふうする本のぎっしり入ったダンボール箱を一度に2つ、軽々と持ち運ぶこと。それを見て、今の僕はいかに体力がないかを思い知らされて落ち込みそうになる。凄いですね、と声を掛けると、仕事ですから、と事も無げに笑って答えた。

ひととおり全部の荷物を運び出してがらんとした部屋を見て一番ショックだったのは、本棚のあった場所と他の場所の壁紙の色が歴然と違っていたこと。要するに、部屋全体の壁紙がいかに煙草のヤニで汚れているかが明らかで、これは全部張替えだろうなと思い、一体いくら掛かるのだろうかと頭がくらくらした。これでは引越し先の部屋でも安心して煙草をスパスパと吸えなくなりそうで、ちょっとしたトラウマになりそうだった。

新しい部屋に荷物を全部運び込むと、部屋の真ん中に大量のダンボール箱が積まれ、これを1日でとにかく眠れる程度にまで整理しなければならないと思うとまたくらくらした。しょうがないので、引越し屋が帰った後、ひとつずつ梱包を解いて片付けていく。部屋を決める前に事前にまったく同じタイプの部屋を見て確認はしていたのだけれど、いざ引っ越してきてみると、確かに部屋自体は前よりも広く、廊下も広くて今度はちゃんと独立した洗面所もあるのだけれど、いろいろと問題点が多々見つかった。まずウォーキングクローゼットが思ったよりも狭く(結果的に前よりも狭くなった)、服と布団を収納するのに一苦労、というかぎりぎり。キッチンのシンクが極端に狭い。これには参った。気が滅入る。キッチンの収納が前より少ない。これらの結果、夜にようやっと粗方の荷物を片付けたものの、前よりも広いところに引っ越してきたはずなのに収まり切らないダンボールが若干2.5箱。不思議だ。まあ確かにフリースペースは前よりも広いのだけれど、楽器の類や大量のCDとかが上手いこと納まる場所がなく、はみ出してしまった。

最初のトラブルは梱包を解いている夕方、手を洗おうとして蛇口から水が出ないことに気づいた。もう夕方の6時をとうに回っていたので慌てて管理事務所に電話すると、7時に開けに来てくれることになった。その電話で、電気とガス、特にガスは立会いが必要だと聞かされ、どうやら忘れていたことに気づき、もしかしたら今日はシャワーを浴びれないかも、と早くも暗澹とした気分になる。とにかく電力会社とガス会社に電話を入れ、電気の方はブレーカーを上げたら使えていたのでそのまま使えるそうでセーフ、ガスの方は時間が遅いにも関わらずたまたま電話に出てくれた人が8時に来て立ち会ってくれることになりこれもなんとかかんとかセーフ。こうして生きていくことに必要な最低限を確保してほっとしたのも束の間、大体片付いたところでPCを繋いで、ネットは出来ないけどとりあえず音楽でも聴こうと立ち上げようとすると、なんとキーボードを認識せず、立ち上げることすら出来ない。もうこの時点で引っ越ししたことを死ぬほど後悔していた。一体オレはなんて余計なことをしてしまったのだろうと頭を抱えた。この先ネットなしではのんびりするどころかいまどき普通に生活することすら危うい。情報源を失ってしまうのだから。とにかくキーボードと念のためにUSBのハブも買い換えなければならないだろうな、と暗澹とした、というよりパニクった頭で思い、最悪は安いノートパソコンを買うことまで覚悟した。

それからひとしきりなんとかこのPCトラブルを解決出来ないものかあがいた。USBをあちこち抜き差ししてみる。マウスは認識して動いているのだから、USBのハブ(点灯している)は一応動作はしているようなのだが、なんでキーボードなんて単純なものが動作しないのだろうか。もしかしたらハブのバス電力が足りないのかも知れないと思い、そういえばUSBハブのAC電源がどこかにあったはず、と片っ端から探すと、引き出しのひとつの中に見つけた。電源を繋いでまたいろいろ抜き差ししていると、ようやくキーボードを認識し、立ち上げることが出来た。そんなわけで今こうして日記を書けているというわけ。

もうかなり長文になってるし、このPCトラブルがようやく解決したところでそれはちょっとはほっとしたけれど、疲弊しきっていて、なんて面倒くさいことをオレはやっているのだ、とまた後悔する。

ところが、本当の後悔はその後にやってきたのだった。この新しい部屋は駅前の道路に歩道ひとつ隔てて面接した1階の角にあり、その道路の交通量は物凄く多いというわけではないけれど、夜通しひっきりなしに車が走る。で、ある程度覚悟はしていたものの、マンハッタンのホテルに泊まっていると思えばいいだろうと高を括っていたのだが、いざ夜というか深夜、枕元の明かりを消して寝ようとすると車の通り過ぎる音が結構うるさい。これは気になるかも、と思いながら寝ようとしたがなかなか寝付けない。頃合は深夜2時ごろ。小一時間ほど眠れずにうだうだしていただろうか(睡眠薬は飲まなかった)、ようやく寝たかに思えたのだがまた目が覚めてしまった。もう1度眠ろうと努力したが、今度は一向に眠れそうになく、枕元の電気を点けて時間を確かめると明け方の5時、相変わらず間欠的に車の通る音がする。ことここに至って、もう無理、と思った。これでは普通に寝て朝早く起きるという生活は無理、ここに住んでどこかに勤めるなどということは無理。もう本当に引っ越したことを後悔した。1月分まで家賃を払ってしまっているので、もう来月一杯でここを引き払って実家に帰ろうとベッドの中で思った。そんなことを考えているものだからますます車の音は気になり、眠れない。そういえば不動産屋の女の子が国道が近くて車の音が気になるので耳栓をして寝ているという話を思い出し、クローゼットの中のバッグから入院時に買った耳栓を取り出して両耳にねじ込み、目覚ましを10時にセットした。恐らくもう朝の6時ごろだろう、ようやく僕は眠りに就いた。

その後は半覚醒したときもかなり眠く、耳栓をすると眠れることは分かった。問題は耳栓をした状態で決まった時間に寝て、少なくとも目覚ましで起きられるかということだ。今日は目覚ましがなる前に目が覚めたので確認できなかった。この環境に果たして僕は慣れることが出来るのだろうか。まともに生活出来るのだろうか。なにより、普通に睡眠が取れるのだろうか。まあもう引っ越してしまったものはしょうがない。最低でも後2か月、様子を見るしかない。その間、ちゃんと眠れて起きられるようになり、生活のリズムが確立されるまでは就職活動は封印しよう。とにかく、まともに睡眠出来ないようでは、勤め続けることは無理だろう。もしかして、これは神というものが存在するのであれば、僕に強制的に休めと言っているのだろうか。そういえば昨夜電話で話したHも、治療を終えてそんなに経ってないのだから普通に考えてもう就職活動するなんてそもそも無理、と言っていた。こうしてこの日記を書いている間も目の前をひっきりなしに車が通り、車の音がトラウマになりつつある。おまけに睡眠不足でもう眠くなってきた。やれやれ、まさに前途多難。これから前の部屋に戻って掃除をして退去の立会いをしなければならない。一体いくら取られるのだろうか。果たして僕に真の安息は訪れるのだろうか。新しい環境に慣れることは出来るのだろうか。

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