やはりサプライズはあった。大久保が選ばれた。
W杯メンバーの発表を生で見たくて病院には予約より1時間ほど早く行ったのだが、思いの外時間がかかり僕は病院の処置室の前の廊下のテレビで中継を見ていた。というのも、一昨年悪性リンパ腫の生検で手術したところ、何故か抜糸してなくて糸がはみ出してきてTシャツに引っかかり、痛くてしょうがないので抜いてもらうことにしたからだ。で、さあこれからメンバー発表というタイミングで名前を呼ばれてしまった。なので、生では見れなかった。「オークボ」とザックが言ってざわめく瞬間を見れなかったのは残念。抜糸が終わって処置室を出て慌てて廊下のテレビを見てメンバーを確認し、さすがに驚いた。先日一度も呼ばれてないと書いたような気もするが、ザックは2年前に1試合だけ大久保を呼んでいる。しかし、2年以上も試合に呼んでいない選手をこの時期に選ぶとは。伊野波が選ばれたのに細貝が落選したのは気の毒。予想以上に2列目より前の選手のバックアップを多く選んだ印象。
病院から帰宅するともう夕方近い。今日も散歩がてら歩いて母のところへ。昨日最悪の表情だったのでどんなものかと思ったのだが、今日は比較的落ち着いていて少しほっとする。が、やはりまだまだ慣れないようで、母を特別養護老人ホームに入れたことが果たしてこれでよかったのかいまだに分からない。よかったのだと思えない限り、なかなか安心は出来ない。
オンラインでレンタル注文していた原田眞人監督「KAMIKAZE TAXI」が届いたので早速リッピングして焼いて確認がてら見た。何しろ元々3時間近くある長尺な映画なので、見るのはこれで3度目ぐらいだろうか。昨日も書いたように、黒澤明作品以降でもっとも好きな邦画であるが、それは黒澤明以降最高の映画という意味ではない。あくまでも「好き」ということである。今回借りたDVDはインターナショナル・バージョンということで、途中かなりカットされていた。最初見たときに少し長過ぎて冗長かなと思った旅館での馬鹿騒ぎの長いシーンが丸ごとカットされている。だがカットされたシーンは特別映像として入っていたので、見終わったあと改めて見る。で、コメンタリーの音声(監督と数人が映画について解説する音声)もあったのでそれはそれで面白く、結局この長尺の映画を丸々2回し見てしまった。それでこんな時間に。
とにかく主役の役所広司、高橋和也は言うに及ばず、ミッキー・カーチス(この映画でキネマ旬報の助演男優賞を受賞)や片岡礼子、矢島健一等の重要な脇役陣からほんの端役に至るまで、これほど魅力的な人物ばかり登場してディテイルをとことん楽しめる邦画というのは他には黒澤の初期作品ぐらいしか思いつかない。セリフのひとつひとつに込められたユーモアと不思議なリアリティ、それは今読んでいる村上春樹の小説の登場人物が皆画一的な会話、話し方をするのと実に対照的だ。緊張感と緩さの絶妙なバランス。暴力とユーモアの切っても切れない関係性。確かに完璧な映画ではない。低予算映画なりの瑕疵はある。だが本当に面白い、愛すべき映画である。同じことを何度も書くけれど、この映画での役所広司が一番好きだし、俳優としての高橋和也(元男闘呼組)を発見したのもこれ。俳優の魅力がこれほどまでに生き生きと感じられて他のキャスティングはなかったのではないかと思える映画は滅多にない。もうちょっといい画質で見たいので返却するまでもう1回見るかも知れない。
そんなわけでW杯メンバーが発表された日だというのに、夕方以降ツイッターのTLすら見ていない。映画オタクの血がまた騒ぐ。