祭りの時間

朝の8時15分に寺の鐘が鳴ったので、随分中途半端な時間だなと思ったら広島に原爆が落とされた時刻だった。

今日も暑い。というか、外よりもうちの中が暑かった。朝、ヘリコプターと広報車が告げるところによると町内で昨日から71歳の老人が行方不明になっているとのことで、敷地内を調べてくださいということ。人口2万人足らずの町で徘徊者が出ると少々気味が悪く、いつもなら窓をそっちこっち開けっ放しにしておくところを全部閉めて業務に出かけた。そのせいだと思うが3時ごろ帰宅するとむっとする暑気が家に篭っていて、今日もあまり風がなくなかなか室温が下がらない。書斎にいると頭がぼうっとしてくる。日中は考え事すら出来ない。暑くて。

今日は夕方母のいる老人ホームで盆踊り・花火大会。大人になってからというもの、何故か祭りの類はすっかり嫌いになってしまって、出席する旨は告げていたものの嫌だなあとずっと思っていた。嫌だと思うからますます嫌に思える。食わず嫌いと一緒である。家族は5時に来て浴衣を着せたりするのを手伝うようにということだったが、行きたくないあまり5時半ぐらいに遅れて行こうかとか考えていたのだけれど、結局家にいても暑くてどうしようもないので5時ちょうどに行く。母の部屋に行くと、ちょうど施設の人が母に浴衣を着せているところだった。母を車椅子に乗せて食堂で待機していると、突然外は物凄い夕立。室内開催に切り替えかなと思ったらどうにか止み、結局予定通り6時ごろには玄関前の駐車場でささやかな祭りが始まった。

bonodori

町の名士連中の挨拶が終わり、いざ盆踊りが始まると母もどこか楽しそうな表情を見せた。母は焼きそばを食べたりかき氷を食べたりした。あれほど嫌がっていたのにこの夕暮れの些細な祭り、それほど悪くない。懐かしい風景だった。どこか映画のワンシーンでも見ているような気がだんだんしてきた。踊り手の人が終わり際に母を車椅子で踊りの輪に参加させ、母も車椅子の上で花笠を持って踊る。それから花火が始まる。打ち上げ花火ではなく、ただ地面の辺りをぱちぱちと上がるせこい花火だった。あれほど嫌がって途中で帰ろうと思っていた僕だが、盆踊りから花火への一連の流れは夕暮れのちょっとした夢のような時間に思えた。

母をエレベーターに乗せ、施設内の自動販売機でオロナミンCを買うと、外に出て煙草を一服した。結局最後までいた。なんだか知らないが全然腹が空かない。夕飯を作る気にもなれないので今夜は久しぶりにラーメンでも食べようと思った。ところがいざ行ってみると町内で比較的まともと思われる2軒のラーメン屋はどちらも水曜定休で休み、諦めて帰宅するとスパゲッティを作って食べた。

今日は日中頭が回らなくて相場の検討もロクに出来ておらず、夜になってなんとなく成行で取ったポジションはことごとく裏目、読みが逆だったというよりも入るタイミングがあまりにも悪かった。お蔭で夜が更けるまで相場と悪戦苦闘、まあ出来ることと言えば被害を最小限で食い止めるということぐらい。

昨日今日と夜になっても部屋の中の温度がなかなか下がってくれない。暑い。特に寝るためだけに使っている2階の自室は深夜2時3時になっても30度以上ある。睡眠薬のお蔭でなんとか眠れてはいるが。

そういえば行方不明の老人は見つかったのだろうか。


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