安定剤の効用

実際のところ、今日はそれほど暑くはならなかった。だが、なんだか暑くなったような気がしてしまったのだ。それでオートマチックに午後1時ごろ、暑さのピークが来たと思って3時までソファで寝てしまった。だが実際はそれほどでもなく、室温はともかく外の気温は30度まで届かなかったのではないだろうか。しかしながら、やはり日中はダルくてどうしようもなく、それが暑さのせいのような気がしてしまうのだった。午前中は昨日の続きでYouTubeでToshilの破産会見などを延々と見てしまったがさすがにお腹一杯。こんなゴシップを見続けてもしょうがないと思った。

4時に精神科の予約、日曜日だし、いつも行くと待ち時間はほとんどないのだが今日は違った。予約票を預けると看護師に今日は遅れているのでと言われたが、結局2時間近く待たされ、診察室に呼ばれたのはもう6時になるころだった。僕の前に診察を受けていたのは小さい子供2人を連れた家族だった(その中の誰が診察を受けているのかまでは分からない)が、ドア越しに聞こえてくる日本語がたどたどしい。中国の人かなと思ったら、ドアが開くとどうやら奥さんはタイの人のようだった。しかし続いて出てくる旦那の方も真っ黒に日焼けしており、ガイジン? と思ったがたぶん日本人なのだろう。子供2人が日本語だったから。それはともかく、ようやく診察が始まると前回同様医師ももう手詰まり。僕が延々と最近の体調の不調と精神面の不調を述べると処方に困ったようで、気分スタビライザーのラミクタールはどうかと訊いてくる。しかし、ラミクタールは以前飲んでいたことがあり、気分スタビライザーの類(デパケン等、元々てんかんの薬で主に双極性障害、つまり躁うつ病に用いる)は副作用だけで効いた試しがない。結局僕の方から提案するしかなく、薬に依存することを嫌がって安定剤を頓服的にしか飲んでいなかったが、最初に心療内科にかかったころ、今と同じドグマチールと安定剤のレキソタンを飲み続けて数か月でパニック障害がすっかり治ったと思った経験もあるので、もう一度安定剤を定期的に飲んでみようと思うというところに落ち着いた。ラミクタールは医者が少量から使いたいと言ったが次回に持ち越し。処方薬局で薬を受け取るころにはもう6時半近い。ふと思って車の中でレキソタンを1錠飲み、そのまま母のところに寄った。

すると、結果的にはどうやら安定剤はそれなりに効いたようだ。ラリった感じこそないものの、例の棘の存在が気がつくと薄らぐ。今日医者も話していたが、結局精神科医の処方の方針は不安に対して鈍感にさせるということで、そのために安定剤を処方するのだった。逆に言えば今の僕は不安に対して過敏になっているとも言える。言い方を変えれば世間一般の人は鈍感だと言えないこともない。そういう意味では安定剤(抗不安剤)で不安感をごまかすというのはそれなりに意味があるのだ。この、「ごまかす」というところや「鈍感にする」というところに「結局一時しのぎで治ってないじゃないか」という抵抗を覚えたりするのだけれど、極度に過敏になってネガティブになっている部分をフラットにすると考えればいいのである。逆に薬を減らすという提案も医師の方からあったが、実際のところはこれ以上減らしようがないくらい安定剤を飲んでいなかったわけで、それで一向にいい方向に向かわなかったわけだから、それよりは1回の服用量が最低量でもあることだし、少し安定するまで朝昼晩と定期的に安定剤を飲んで血中濃度を保って様子を見ようと思う。実際、今夜ぐらいの感じであればまだいい方だと思う。そんなわけで夜ももう1錠飲んだ。

トルーマン・カポーティ「カメレオンのための音楽」読了。最初は文句たらたらだったが、対話の手法を使ってノンフィクションの体裁を取るようになってからぐんとよくなり、後半は非常によかった。最初気になった野坂昭如の訳もこうしてみると悪くない。ただ、前半の6編の短編は消化不良な印象。もちろん、短編というのは往々にしてそういうものであり、起承転結やカタルシスを求めるのは酷なのかもしれないが、対話の手法を使った後半の作品群は鮮やかな切り口を見せていて対照的だった。意図的に実在の人物を登場させてフィクションとノンフィクションの境目を曖昧にしたのも非常によかった。


カメレオンのための音楽 (ハヤカワepi文庫)

「ブレイキング・バッド」は1話分だけ見るがどう見ても蛇足的で余分なエピソード。どうも連続ドラマというのは話が遅々として進まない。結局本日も医者に行ったぐらいでほぼ何もしていないも同然なのだが、安定剤を飲んだせいかこのところの強烈な焦燥感に駆られるというわけではなかった。ただ相変わらず日中の体調は酷い。精神科で2時間待たされている間に冷房ですっかり身体が冷えてしまい、夕方以降気温が下がったせいもあり夜はやたらと涼しい。

マインツの岡崎はまたしても開幕戦ゴール。FKがポストに弾かれたところを詰めた。ごっつぁんゴールと言えばそうだが岡崎らしいポジショニングのよさ。結果2-2の引き分けに終わったが2点目のPKも岡崎が得たもの(得点はク・ジャチョル)。

2錠目の安定剤が効いてきたのか少しぼんやりしてきた。気がつくともう秋の気配。


カテゴリー: 未分類 パーマリンク