暴挙と希望と

11月14日、土曜日。

朝から終日雨が降りしきる。

10時ごろに目が覚め、台所で朝食を摂りながらノートPCを立ち上げてツイッターのTLを追うと、とんでもないことが起こっていた。パリの同時多発テロである。僕を震撼とさせたのは、これがコンサート会場である劇場とフランスとドイツの試合を行っているサッカー場を狙ったということだ。先日読んだばかりの村上龍「オールド・テロリスト」を彷彿とさせる。明確なターゲットを持たず、不特定多数の無差別大量殺戮を狙ったものであるというところが救いがない。こうなると宗教も信念もへったくれもない、ただの闇雲な破壊活動だ。僕のような日本に住んでいて、しかも山形の片田舎に住んでいる人間にも他人事ではないと思えるのは、音楽とスポーツの会場を狙ったからである。個人的なことをいえば、僕の数少ない楽しみが標的になった感がした。テロという言葉どおり、恐怖の種を蒔くという意味では確かに効果的なのかもしれないが、救い難い暴挙だ。夜になってIS(イスラム国)が犯行声明を出した。暗澹たる気持ちになるのは、このイスラム国を支持し、協力する人たちが世界中に山ほどいるということである。彼らが果たして何を目指しているのか、もはやさっぱり分からない。殺戮と破壊の果てに一体何があるというのだろう。

そんなわけだから、しばらく僕の心はざわついた。こういうニュースは世界を憂鬱なものに変える。悪意や憎悪、報復といったものはそういうものだ。

おまけに今日も僕は眠かった。午後、少しばかり昼寝をしようとコタツで横になったが、小一時間ほどうとうとしただけに終わる。外はずっと雨が降りしきっている。まったく憂鬱な日だ。

ところが、夜になって光明が差す。結果的に、気分が一変することになる。というのも、アマゾンのプライムビデオで僕が一番好きなドラマ、「JIN ―仁―」を見始めたのだった。このドラマを見るのは、最初リアルタイムで途中から見て、その後総集編を見たので都合三度目になる。だが第一話をちゃんと見るのは初めてだった。まったく素晴らしい。最高だ。ドラマの最後にMISIAの「逢いたくていま」が被ってくるところは完璧だ。なんて面白いのだろう。3話まで見たが、もう知っている話なのに毎話涙ぐむ。胸が一杯になる。なんていうか、人生というものはこういうもので充たされるべきだと思う。仁が現代の医術で治療していくときのカタルシス、綾瀬はるか演じる咲が仁と彼の医術に引き込まれていく様子。ここには確かに希望があり、タイムスリップした江戸時代は息づく今になる。

カテゴリー: 未分類 パーマリンク