6月3日、日曜日。
今日も長い夢を見て11時過ぎに起床。起きたときから異様に疲れていた。今日の夢では僕は大学の職員で、延々と会議をしていた。その大学の構内はまるで大友克洋の「AKIRA」みたいなドーム状になっており、建物の入り口は地下に向かって巨大な口を開いて坂になっていて一面に雪が積もっていた。僕は隣の女子職員と昼は何を食べるみたいな話をずっとしていたのだが、例によってその女性には顔も名前もなかった。
今日は暑かった。スマホによると29度のようだが、室内が25度を超えていたのでやたらと暑く感じた。天気がよかったのでシーツを洗濯した。シーツはすぐに乾いた。
例によって6時半ごろに母のところに行くと、今朝の食事から日曜の朝食だけに出るパンが母にも出たという。それまで母だけご飯で、以前から自分だけパンを食べられないとこぼしていたので先日皆と同じパンにしてくれと頼んでおいたのだった。ところが母の話を聞くと、どうやらパンよりも一緒に出る牛乳が量が多過ぎて気に入らなかったらしく、どうにも煮え切らない。業を煮やして、嫌だったらまたご飯に戻してもらうけど、と言っても母はなかなかはっきりとは答えず、生来の優柔不断さを極限まで発揮したのでついいらいらして問い詰めてしまった。嫌なら嫌とはっきり言ってくれないと分からない、というように。結局もう一度ご飯に戻してもらうようにすることにしたのだが、母は最後までご飯の方がいいとはっきり言ったわけではなく、ただお前に迷惑をかけたくないと言い、目をしっかりと見開いて僕をまじまじと見つめるので、僕は思わず視線をそらしてしまった。
母には物事を問い詰めてはならない、母の言うことを否定してもいけない、と常日頃自分に言い聞かせていたのだが、今日はそれが出来なかった。帰り際、エレベーターで一階に降りながら嫌なものを嫌と言いきれない母が酷く哀れに思えた。
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昨夜から今度は自分が書いた長編の2作目である「幽霊譚」を読み直した。これまで、処女作の「ホリデイズ」よりもこの「幽霊譚」の方が小説としては出来がいいと思っていたのだが、改めて読み返してみるとどうにも印象が違った。まずあまりにも個人的過ぎるのである。作中のエピソードが自分の経験そのまんまなので、これでは読む人が読めば誰のことだか一目瞭然だ。もちろん、知らない人が読めばそういう印象は受けないのだろうけど。私小説でもないのにこれはちょっといただけないな、書き直さなければと思った。そこら辺があまりにもリアルなので途中読んでいて痛々しいというか、本来はむしろ滑稽でユーモラスな話のはずなのに痛過ぎるのだった。
4分の3ぐらいまで読んで一夜明けて、さっき最後まで読んだ。すると、なんということか、またしても最後の方でちょっと感動してしまったのである。まあ当たり前といえば当たり前なのだが、何しろ自分が書いたものだからすっかり感情移入してしまって。ポップなホラーのつもりで書いたのだが、むしろ恋愛小説としてちょっとずきんとしてしまった。
それはともかくとして、前述のように思いの外出来がよろしくなく、あまりにも現実と同じところは修正しなければならないし、小説としても特に前半の書き出しのところは直さなければならない。まあ主人公の名前が安川というのは自分の高山を逆にしただけなので、そもそもそこからして安易なのだが……。