Fugue

6月10日、月曜日。

梅雨だからしょうがないのかもしれないが、とにかく寒い。5月の30度越えが一体なんだったんだっていうぐらいに。あんまり寒いので午後、ヨットパーカーを羽織ってベッドに潜り込んで昼寝をしていると特養からの電話で起こされた。話を聞いてみると、どうやら病院がこちらではなく特養の方に退院の日にちを相談したらしく、今週の金曜日(14日)の午前中に母は退院することになった。

母の食事が心配だったので、夕食の時間に合わせて夕方から病院に行った。今日の母は最近では珍しくよく喋った。食事のときに椀を持つ左手がぷるぷる震えるのが心配だったが今日はそういうこともなく、時間はかかったものの夕食はほぼ平らげた。7時過ぎに病院を後にする。帰り道、途中にある回転寿司で夕食。

帰宅後の夜は、日中まったく相場のポジションを取らなかったのでそれなりにトレード。しかし買い下がって含み損を抱える羽目になり、一時はトータル150ピップスぐらいの損切りを覚悟したが、23時の指標結果が悪かったにもかかわらずちょっとだけ上がってかろうじてプラスに転じたところで決済。その後下がったので結果的にはラッキーだった。

相変わらずテンションもモチベーションも低い。抑うつ状態すれすれのところにいる。依然手が痺れる。

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Life

6月9日、日曜日。

今日もなんらかの夢を見て起きる。仕事の夢だったが、不思議なことにツイッター上でやりとりしているだけで実際には会ったことのない小池さんが出てきた。彼となんらかの仕事を進める夢だったのだが、もう一人女性の登場人物がいたのだが誰だったか思い出せない。

今日もなんだか寒いと思ったが、考えてみればとっくに梅雨に突入しているのだった。4時に精神科の予約が入っているのでその前に病院の母に面会に行く。今日の母も頼りなかったが、昨日までよりも声は出るようになった。3月に入院したときと同じ病室になったせいで、今日の担当看護師は前回の入院時に僕が怒鳴りつけた若い男性看護師だったので必要以上に恐縮してしまい(自分が)、なんだか居心地が悪かった。前回の入院時に揉めたとき、彼の片方の目が半分真っ赤だったのを今でも覚えているが、今日は名札を見た途端にまともに顔を見れなくなってしまい、目がどうだったかは分からない。

病院から精神科に直行すると、不思議なことに今日はまったく待たずに済んだ。

親善試合、日本 2-0 エルサルバドル。最近はなんだか代表の試合に心が躍らない。ちっともわくわくしないしどきどきもしない。何も期待していない。前回の試合(トリニダードトバゴ戦)は日記にすら書かなかった。今日もまた、どうでもいいなと思いながら見ていた。正直なところ、この2戦を見て代表が強くなったとは思えない。むしろどちらかというと停滞しているように見える。久保が18歳で代表デビューしたことに実況のTBSは大騒ぎしていたが、そんなことを言ったら小野伸二は18歳でW杯に出ている。どう考えてもそんなに驚くことではない。それよりも、Aマッチデーの対戦相手がなんでトリニダードトバゴやエルサルバドルなんだ? とみんな不思議に思わないのだろうか。なんで日本代表はアウェイに行って試合をしないのか。興行優先だから?

今日はちょっと不思議なことがあった。たまたまツイッターのタイムラインでサッカー関係のツイートが流れてきたのを見たら、なんとその選手が同級生女子の長男だったので驚いた。学生時代に彼女に頼まれてバックでギターを弾いていたのだが、彼女はその後(卒業後と思っていたらどうやら中退したらしい)コロムビアからデビューして、そのデビューアルバムをプロデュース、アレンジしたのが新川だった。僕は彼女のデビューアルバムの翌年から新川のマネージャーになった。同業の年上の友人である志熊が彼女を「あぶない刑事」のサントラに使ったりしていたしお互いに同じ業界にいたのに、どういうわけか僕らは卒業後一度もスタジオとかで会うことはなく、擦れ違ったままだった。そのうち、風の便りで(たぶん志熊から聞いたんだと思う)彼女がイタリア人と結婚したと聞いたが、その後はどうしているかさっぱり知らなかった。その彼女の息子がJリーガーになっていたのである。

改めて彼女をググってみると彼女のホームページやツイッターのアカウントが見つかった。最近のツイートで弾き語りをしている動画を見ると、彼女も老けたなあと思ったが、考えてみれば当たり前だ。あれからもう40年近く経っている。

人生なんてどこで擦れ違って、どこでまた交差するかなんて分からないな。だからこそ面白いんだろうけど。

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翌々日

6月8日、土曜日。

午前中(といっても起きたのは11時近くだが)は雨で寒かった。午後、母の手術の日に注文したマウスが届く。なんだかんだ、ワイヤレスマウスだけでもこれで買うのが5個目だが、ここに来てようやく満足できるワイヤレスマウスに当たった。同じナカバヤシの有線マウスと比べると若干持った感じが大きい気がしたが、かえって左脇にあるブラウザの戻る・進むボタン(自分は使わない)を意図せずに押してしまうことがないので結果オーライ。デフォルトでは感度が自動調整になっているがこれを固定にすると、パワーサポートのマウスパッドと同時に使うことで今のところ最強の組み合わせになる。有線マウスはパワーサポートのマウスパッドと使うと軽過ぎる感じがしたが、電池を入れて使うワイヤレスマウスだとちょうどいい重さになり使いやすい。この一個前に買ったサンワサプライのワイヤレスレーザーマウスは感度に難がありときどきとんでもないところにポインタが飛んだりして使えなかったが、今回のマウスはそういうことはない。ここにたどり着くまでに随分無駄な時間と銭を費やした感はあるが。

午後病院のICUから電話があり、母の容態が安定しているので2時半に一般病棟に移動するということだった。ほっとする。2時半から移動を始めるというので3時に行くのを目安に、その前にちょっと昼寝をしていこうと思ったら寝過ぎ、前述のマウスが届いて起きたがもう3時近かった。結局病院に着いたのは4時前。母は顔色は悪くないが余程手術で疲れたのか今日はほとんど寝ていた。それにまだ喋る声が小さく覚束ない。もっと覚束ないのは6時過ぎに届いた食事で、これまで特養では一人で食事できていたのだが今日はあれこれ手伝ってやらないとならなかった。当然ながら毎度の食事を僕が手伝うことはできないので、しばらくはちょっと心配。

今日は何の予定もない日で、病院に行った以外は何かをやろうというモチベーションがとにかく低かった。作りかけの曲を聴き直したりしてみたもののやる気がゼロ。アドレナリンが出ない感が半端ない。どうも一昨日の手術のときに抑うつ状態になったのが尾を引いてるのかもしれない。いまだにときどき手が痺れそうになる。

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翌日

6月7日、金曜日。

10時53分起床だが、昨夜寝たのは4時過ぎなのだからしょうがない。何しろ夕食が深夜1時半過ぎ、風呂に入ったのが3時過ぎなのだから。僕よりも普段6時起きしている弟の方がしんどかったと思うが、弟は僕よりも1時間ばかり早く起きていた。

一夜明けてから書くと、昨夜は手術時間が10時間を超えたあたりからありとあらゆる最悪の事態を考えて待機室で抑うつ状態になって手が痺れた。これまで10時間の手術というと結婚する前の元妻が椎間板ヘルニアの手術をして途中医療ミスで食道を切ってしまって6時間余計にかかったときぐらいなので、不測の事態に陥ったのではないかと思ったのだった。深夜1時過ぎにICU(集中治療室)で対面した人工呼吸器をつけた母は随分と衰弱しているように見えたので、一夜明けても心配だった。

事前にICUに電話して母の人工呼吸器が外れたことを確認して、弟と二人で地元で一番の不人気店で中華そばの昼食を摂ってから病院に向かった。すると、今日の母は顔色が戻り、声は小さいが喋ることもできたので一安心。前回は手術翌日に一般病棟に移れたのだが、今回は手術時間が長くかかったこともあり一般病棟に移れるのは明日か明後日ということだった。弟は病院から仙台へと帰っていった。

帰宅するとめちゃくちゃ疲れていた。それでも昨日ノートレードだったので相場のトレードを少々。夕方昼寝少々。夕飯にレトルトのカレーを食べたが、米を食べるのが実に久しぶりだった。昨日一日で体重が1kg減り、今日一日で500g増えた。つまり体重というのはメンタルと連動しているというか相関関係がある。

そういえば昨日、家族待機室で弟が来るまで一人で待っている間、ストレスに耐え切れずまたワイヤレスマウスを注文してしまった。5個目。申し訳ない。とにかく母が無事であったことだけで十分。これ以上何も望むまい。

今夜はこの後0時キックオフのU22日本対ポルトガルの試合を見る。束の間の楽しみ。

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The Longest Day

6月6日、木曜日。

12時に病院に行き、13時半から母の手術。午前0時34分に手術終了。医者の話を聞き、人工呼吸器をつけた母と会って帰宅の途に就いたのが1時20分。

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雷鳴と蟻

6月5日、水曜日。

病院の帰り、13号を走っていると雷鳴がとどろき、ワイパーをフル稼働にしても前が見えないくらいの猛烈な雨になった。帰宅後、雷は一旦収まったように見えたが、夜になって再び雷鳴がして電気が一瞬消えたりする。そしてまた猛烈な雨音。

それと関係があるのか、それとも一切関係ないのか、風呂に入ったら浴室に大量のアリがいて浴槽の淵を行列をなしていて驚く。気味が悪いことこの上ない。まさにホラー映画。

昨日ウイルスバスターのアップデートをして再起動をかけて以来、何度もアップデートのポップアップが出る問題、サポートに電話してみたところ結局一度アンインストールして再インストール。結果、今のところは問題ない。

夜、某お笑い芸人と某美人女優の結婚会見を見る。あまりに幸せそうで、羨ましい限り。幸せな人たちを見ると幸せな気分になることが判明。

明日は母の手術の日。長い一日になるだろう。

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不如意

6月4日、火曜日。

昨日まで普通にVPSに繋がっていたリモートデスクトップが今日になって繋がらなくなった。どうもウイルスバスターのアップデートをして再起動をしてからそうなったっぽいが、設定からリモートデスクトップを有効にしようとするとWindows10HOMEエディションではリモートデスクトップは使えないからProにしろと出る。ググってみてもHOMEエディションはリモートデスクトップに対応していないと出るが、それなら何故昨日までは繋がっていたのか? 何がどうなっているのか分からんよ。一夜にして世界が変わってしまった感。当然EAが取っていたポジションは決済して資金も引き揚げて撤退。Windows10をアップグレードしないとなるとあとはAWSのLightsailを使ってみるとかしかないが、正直一番安定していたEAを使っていたブローカーが突然bitwalletの対応を一時休止すると言い出したので慌てて出金した経緯もあり、せっかくVPSを使ってEAを試していたのだがしばらく中止して裁量に専念することにする。しかし一体何が起こったのか。

ところで木曜の母の手術は朝の9時からではなく13時30分からになった。

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幻影

6月3日、月曜日。

マリオ・バルガス=リョサ「アンデスのリトゥーマ」読了。

時系列やら物語が交錯して進んでいくのだが、その割には存外に読みやすくてびっくりした。バルガス=リョサってこんなに読みやすかったっけ?という感じ。

今日から母が入院。10時半まで病院に行かなければならないので8時40分にアラームをかけておいたのだが、8時39分に目が覚めた。いつも思うのだが、人間の体内時計って一体どうなっているんだろう? もっとも、常に動作するわけでもなさそうだし。

母は前回と同じく5階の東病棟だが、今回は窓際のベッドなので日当たりがいいのと景色がいいのは救い。看護師から木曜日の手術は朝の9時からと聞いて愕然、木曜日は7時起きか……と気が遠くなる。明日の11時半から麻酔医と担当医の説明を受けることに。帰りがけ、途中のドトールでカフェ・ラ・テを飲んで一服して帰る。

日中の気温は29度だったが、とにかく暴力的なまでに暑かった。まさにうだるような暑さという感じ。ところが夜になると窓を開けているとやたらと涼しく、こういうとこはまるで避暑地のようだ。夕食後、YouTubeでどうでもいい動画を見ていてドアチャイムに気づかず、宅配便を受け取り損ねる。受付センターみたいなところに電話して、8時過ぎに町内の宅配センターに受け取りにいった。

日が落ちて夜になるころに気づくと、ようやくここ二日ばかりのもやもやが大分薄れた気はする。同窓会後の喪失感と存在しない恋の幻影みたいなものから。夢から覚めて現実に戻るみたいに。

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Emptiness

6月2日、日曜日。

抜け殻のように一日を過ごす。改めて、自分が独りであるということをまざまざと如実に突き付けられる。何度も同じことを書くようだけれど、人生の大半を一人で生きてきた。いまさら一人であるから云々というのは考えてみれば奇妙なことである。だがそれでもちょっとした燃え尽き症候群みたいな状態になった。何に燃え尽きたわけでもないのに。もし僕が燃え尽きたとすれば、それはもう今から15年ぐらい前、最後の会社を辞めたときだろう。いうなれば、僕はそれから延々と燃え尽き続けている。「燃え尽き続ける」というのは奇妙な表現だ。燃え尽きたのであればもう燃えるものは残っていないはずだからだ。人間はこんな風に燻り続けながら生きていくのだろうか。あがいて。

昨夜ホテルに泊まった級友たちも皆帰宅してそれぞれの元の日常に戻ったのだろう。つまりは僕も元の日常に戻ったはずなのだが、なんだかいろんなものが抜け落ちてしまったような気分だ。同級生たちと過ごした数時間は、あまりにも日常とはかけ離れていた。そういう意味では、まるで夢のようだった。彼らのテンションに引きずり込まれ、時間が逆戻りしたというよりも、DVDのチャプターであっという間に何かを飛び越えて戻ったような感じだった。そして僕はそこから強引に抜け出してきた。何もない、誰もいない日常へ。

誰かと久しぶりに会うのは本当に悪くない。忘れていた何かを思い出すから。

明日の朝から母が入院するので、今夜は早く寝なければならない。マリオ・バルガス=リョサの「アンデスのリトゥーマ」はエピローグに入り、今夜にも読み終わるだろう。そして僕はまた新たな夢を見るのだ。いつものように。

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恋をあきらめて

6月1日、土曜日。

同窓会当日。土日はさすがに隣の工事はやらないだろうからゆっくり眠れると思っていたら、朝から重機の音で目が覚める。二度寝して起きたのは11時近かった。頭痛が少ししたのは寝すぎか。一夜明けて6月になったので、Tポイントを使ってSteinbergのオーディオインターフェイスを注文。念のために先日エレピだけメモとして打ち込んだ曲を聴いてみたが、正直ピンと来ず。これを練り上げて仕上げようという気には今はならない。かといって、この先一生ギター(あるいはボーカル)をレコーディングしないということはまず考えられないのでとりあえず安く買えるときに買っておく。

2時ごろに先に母のところに面会に行き、それから同窓会の会場である隣町のホテルに。3時半ごろに着いたが駐車場はほぼ一杯、なんか緊張してきたので車の中で煙草を一服してからホテルの中へ。

受付時間は3時45分までなのでぎりぎりだったのだが嫌な予感が。たぶんロビーにいるのは皆同級生なのだろうがぱっと見知らない人ばかりという印象。それにみんなスーツにネクタイをしている。一方の自分はというと、Tシャツにカーゴパンツで無精髭を生やしている。場違い感凄い。一人だけチンピラ感。しょうがないのでソファに座っていると、隣に来たおっさんが誰?というので見ると小中学校で同級のムラカミだった。彼は以前シモキタに住んでいたので30年前には東京で何度か会っていた。ようやく知っている人間がいたというので少しほっとしていると、今度は35年前に秋田で会ったのが最後のマツダがやってきた。そうしているうちに、だんだんと皆の顔や名前にどことなく見覚えがよみがえってきた。

皆でホールに移動してそこで祈祷。これが皆の名前を読み上げたりするので結構時間がかかり、ただでさえ一人だけ場違いな雰囲気全開なので居心地の悪いこと。そこで気づいたのは、同窓会に行く前は見た目では自分が圧倒的に若いはず(少なくとも男子では)と思っていたのだが、全然そんなことはないということだった。僕よりも若そうな連中がたくさんいる。むしろ年齢より明らかに老けていると思える人間は数えるほどしかいなかった。確かに皆それなりに立派になり、事務局長のカシワザキなどは地元の名士然としているがそれでも若い。

祈祷が終わり、次はクラスごとに中庭で写真撮影。その間に45年ぶりに顔を合わせたものの当時の面影を残している連中と話す。こうしてみると、男子は存外皆それほど変わっていない。変わったのはむしろ女子の方だった。誰だか分からない人多数。

写真撮影後、今度はテーブルが用意されているホールに移動。クラスごとに席が決まっている。僕はムラカミとマサトシの隣だった。今日の出席者の名簿を見ていると、そこにはえっちゃんもアサギもキミちゃんの名前もなかった。つまり、この時点で僕の心がざわつく女子はほぼいないことが判明、ただし中学のときに好きだったが一度も話したことのないエミコちゃんの名前はあったが結婚して姓が変わっており、そもそも見渡した時点でどれが彼女がも分からなかった。美人で気になっていたマミちゃんの名前もあったが会場を見渡しても分からず。副事務局長のマキやら担任の先生たちやらが挨拶している間に会場の中を観察すると、ひとりだけ自分がよろめきそうな女子がいた。中学のときは奇妙なおかっぱ頭のせいで目立たなかったコンノさん(旧姓)がひとりだけ飛び抜けて美人になっていて驚いた。もし今日僕がナンパ(笑)するのであれば彼女しかいない。真面目な話、還暦という年齢を考えても下手な女優よりもいい女になっていた。だが妄想もここまで。今日は6時過ぎになったら帰ろうと決めている。先生たちの話が長く、時間は刻々と過ぎ、6時になろうとしていた。校歌を歌う段になり、僕はメロディも歌詞もさっぱり覚えていなかったが、隣のムラカミが3番まで歌詞を完璧に歌っていたので驚いた。

ようやく一段落して談笑の時間になるころにはもう6時を回っていた。隣のテーブルに座っていた元担任の先生に呼ばれて話をする。案の定近況を訊かれるのが辛い。何もしてませんというしかない。本当に自分がただのチンピラでしかないと思い知らされる。マツダは僕がダントツで頭がよかったと言い張るけれど、それはたまたま中学のときの全国模試で僕が300点満点の297点という成績だったからだろう。それでも山形県では2番で、1番ではなかった。

6時15分を回ったので、担任やムラカミやマツダに帰ることを告げる。正直前述のコンノさんの存在もありもやもやはするけれど、たぶんこのまま夜まで残っても何も起こらないだろう。僕らはもう恋などをする年ではないのだ。マツダとムラカミにいつだったか作った名刺を渡す。マツダが名刺をくれたので。そんなことをしていると、中学のときに僕にあこがれていた(と思われる)女子の旧姓オカザキがやってきて、えっ、高山くんもう帰るの?と言ってきた。彼女とは30年前に新宿でムラカミとかと一緒に会ったことがある。彼女はもうそのころから結婚して立川だか八王子だかにいたのだが、その後何度か電話がかかってきた覚えがある。彼女が僕に好意を抱いているのは知っていたが、残念ながら僕は彼女に対してまったくそういう感情を抱いたことはない。

とにかく決めたことを実行するのだ、という思いだけでそれじゃあと行って会場を後にする。2万円も払ったフルコースの料理はまだ前菜しか出ていなかった。オカザキが送っていくといって一人だけついてきた。彼女は「ようやく高山くんの夢を見なくなった」とぽつりと言った。10年前にご主人が亡くなって今は八王子にいるということだった。驚いたことに2階の会場から一階の玄関に降りるまでの短い間、彼女は一生懸命僕を口説いているのである。彼女には勇気があるが僕にはない。しょうがないので玄関で名刺を渡し(いまだになんで渡したのか分からない)、握手をして「またね」と言って別れたが、もちろん僕にはオカザキにも、それからその他の大勢の級友たちのほとんどとも、もう一生会えないであろうことを知っていた。

駐車場の車にエンジンをかけ、それから煙草を一服した。もちろん自分が場違いな感じはしたが、こうやって一人だけ先に帰るのはそれ以上に場違いに思えた。意外なことに名簿を見るとほとんどの人がホテルに泊まることになっていた。日帰りは僕を含めた数人だけだった。僕は何かを封印するように煙草を吸った。人生はいろんな勘違いでできている。僕の青春は今日終わったわけではなくて、とっくの昔に終わっていて、今日はただそれを確認しただけだ。

なんだか物凄い喪失感があった。暮れかかった13号のバイパスを走りながら、窓を開けて「ファック!」と叫んだ。「ファック・オフ! ファック・オフ! アディオス!」もちろんそれは自分自身に向かって叫んでいるわけだが。情けないことにこういうことでもしないと僕はいろんな人にさよならさえ言えないのだった。もう二度と会えない人たち。もしどこかでひょっこりと会うようなことがあれば、それこそが縁があるということだろう。もしどこかでコンノさんに会ったら、そのときは声をかけるだろう。

帰宅してすぐに鹿島の試合が始まったが、しばらく僕は上の空だった。自分は一体何をしているんだろうと思った。たぶん今日は人生でただ一度限りの日だったのだ。僕だけじゃなくていろんな人にとって。さよなら。さらば青春の光。

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