Lost in the Hurrah

5月5日、日曜日。

Marc Jordan、久々に聴いた。っていうかiTunesを立ち上げること自体が久々。毎月apple musicに980円払い続けてるのにほとんど聴かないという。

例によって何らかの夢を見て起きたら11時近かった。で、台所で朝食を摂りながら外を見ると今日もまた尋常じゃなく晴れていた。それで発作的にこれは旅に出なくては、と思ったのだった。もちろん日帰りで。無計画なことこの上ないのだが一応目的地はある。震災の被災地をこれまで一度も訪れたことがないので、一度は行った方がいいかと常々考えていた。ひとまず距離的に一番近そうなので宮城県の女川を目指すことにした。ネットのグーグルマップを見ると、尾花沢からひたすら国道347号線を行けば石巻にたどり着き、女川はその先である。一応拡大した地図をプリントしておく。問題は347号線が大崎から108号線に変わるというところだが、地図で見る分にはひたすらまっすぐ行けば大丈夫そうに見える。(これが間違いだった……)

とにかく12時20分に出発してみた。目算としては3時か遅くても3時半に到着すれば日帰りで戻ってきて母のところにも寄れる。仙台まで1時間半なので2時間半あれば行けそうに思えるが。

13号のバイパスは東根を過ぎて尾花沢を目指すところは空いているしまるでアメリカのフリーウェイを走っているようだった。尾花沢から347号線に入り、ひたすら進む。県境を越えると加美町という町に入ったがこれがやたらと広い。時速60kmで走っているのに抜けるのに1時間ぐらいかかる。途中の山道は素晴らしく美しい。ところどころ山肌にまだ雪が残っている。この季節の山は秋の紅葉とはまた違った微妙な色合いを見せて美しい。

ようやっと加美町を抜けると大崎市に入る。ふと気がつくと宮城県に入ったらやたらと空が広い。うちのところよりも広いのは、地平線に山の稜線がないからだ。うちのところは360度山の稜線がある。それに、宮城県の信号は山形県と違う。LEDなのか。それにしてもいい天気で、気がつくと暑い。一応念のためにGジャンも持ってきたのだがそれどころか袖をまくる始末。外気温は26度もある。

とか言っていると、347号線が終わり、右か左に曲がらなければならなくなった。どっちか分からない。とりあえず海の方に向かうということで右に行ってみると、108号線ではなくて4号線に乗って仙台方面に向かっていることに気づいた。これは逆方向。慌てて左手の道に折れる。ところが、その適当に入った道がどんどん狭くなりただの農道になり、気がつくと干上がった川の堤防の上にたどり着いていた。ここはどこだ? 完全に迷ってしまった。

道はとっくに車が擦れ違えないほど狭くなっている。とにかくこの状況を脱しないととんでもないことになると、堤防の上をちょっとでも広い道に出るまで走る。この時点で自分がどの方向に向かっているのか完全に見失っていた。なんとか普通の道に出る。時間はもうとっくに2時を回っていてこれは3時半までに女川というのは到底無理、どこを走っているのかすら分からないのでもう戻るしかないと思うものの、どうやって戻ればいいのか分からない。ただの県道を適当に走っているとまた道が狭くなって行き止まりっぽくなる。どうやら大崎市の古川近辺をひたすらうろうろしているだけのようだ。まったくでたらめに走っていると、ようやく347号線に出た。もう戻ることしか考えていないので加美町方面へ。ようやっと見たことのある風景が。

加美町を尾花沢方面に戻りながら、そこでようやくスマホのGPSを使ってグーグルマップを見ればよかったと気づくが後の祭り。なにしろカーナビもついていない車に乗っているからそういう発想自体になかなかならない。

尾花沢方面は空いていて前後を走る車もいない。例の美しい山間を走っていると、山道の途中で何やら人が立っている。見ると、車がガードレールだか電柱だかに衝突して前面が大破していて、救急車も出ていた。さすがに止まって写真を撮るのは不謹慎かと通り過ぎた。ひたすら帰り道を急ぐが、これだけ長い間運転するのは久々なのでとっくの昔からケツが痛くてしょうがないし、行きの途中でコンビニで昼食を摂っただけで後はひたすら走り続けているのでめっちゃ疲れている。実際、これでは一体何しに来たのかまったく分からないなと思う。これは旅に出たというよりもただ道に迷っただけではないか。このまま帰るとただのドライブに終わってしまうので、途中にある銀山温泉に寄ろうかと一瞬迷う。しかしもう4時を回っているし銀山温泉に向かう交差点を温泉旅館の送迎バスが曲がっていくのを見て断念。

13号のバイパスを途中までぶっ飛ばしていたのだが、村山市あたりから渋滞。やはり連休なのか。スタンドでガソリンを入れて5時ごろにようやく帰宅。疲れ果てた4時間半のドライブ。おまけに何故か物凄く腹が減っている。コンビニで菓子パン1個買っただけだからか。あまりに腹が減ったので、母のところに行く前に蕎麦でも食べようと6時近くにまた車に乗って(かなりうんざりしている)蕎麦屋に行ってみると既に閉店。もう1軒の蕎麦屋に行ってみるがやはり閉店。こういうときはこの町で一番流行らない店だがそれほど不味くないあの店なら大丈夫だろうと行ってみると、出前に出てますという札がついて鍵が閉まっていた。唖然として帰宅、冷凍のごはんをレンジで温めて夕食を済ませ、母のところに向かう。真面目な話、もうボロボロに疲れていた。

というわけで、なんの予定もない連休というのも一応旅らしきものをしようと思っただけで一日は終わるということが判明。今日の教訓としては、何の計画もなく発作的に旅に出る場合は最低限泊まってもいい支度をしてからでるべき、ということだった。それにしても、カーナビな……。

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