5月27日、月曜日。
とにかくクソ暑かった。検査の結果は異常がなかったが、診察を終えて受付の前で自分の番号が表示されるのを待っていると、隣に座っていた若い女が露骨に貧乏揺すりをした。女性が貧乏揺すりをするのを、少なくとも若い女性が貧乏揺すりをするのを初めて見たような気がするのは気のせいなのか。うだるような暑さの中の帰り道、信号待ちをしていると後ろの車の運転席に十年に一度見かけるかどうかぐらいのデブがいた。存在そのものがエアバッグのようだった。
帰りがけに久しぶりに隣町のユニクロに寄ってTシャツを買った。ユニクロに行くのは一年ぶりか二年ぶりか、とにかくそのぐらい。Tシャツを2枚選んでレジに向かうと、レジには誰もいない。ふと見ると5mぐらい向こうに女子店員が一人いて、僕がレジの前にいるのにも気づいているがまったくこちらに駆け寄る様子がない。これはなんか変だ。一体何事なんだと思うものの、相変わらずレジは無人だし人が常時いる気配すらない。Tシャツを2枚抱えたまましばしレジカウンター前に呆然と佇む。ふとレジ奥の壁際を見るとセルフレジと書いてある。そういうわけなのか。なんだか自分が世の中からだんだん取り残されている気がした。たぶん実際に取り残されているんだろう。しかしあのセルフレジ、老人たちには使えないと思うが。まずセルフレジという文字に気づかなければならないから。いずれにせよ、そうならそうでレジカウンターのところに書いておくべきじゃないか。
今日から隣家の増築工事が始まったが、蓋を開けてみるとなんてことはなかった。確かに朝起きたときになにがしかの音はしていたが、7時に鳴る向かいの寺の鐘よりはずっと小さい。なので安定剤4錠飲んで寝ればまったく気づかないだろう。それに昼寝をしようと思えば問題なくできた。午前中病院に向かうときには危うく居眠り運転になりそうなくらい眠かったのに、なんで今日は昼寝をしなかったのだろう。
気がつくと明後日に特養で母の誕生会、週末には例の中学の同窓会が目前に迫っている。よれよれのTシャツを着ていくのは恥ずかしいと思って10年ぶりぐらいに半袖のTシャツを買ったのだが、考えてみれば同級生女子は少女からおばさんを通り越して半分お婆さんになっているに違いなく、変に中途半端に派手なTシャツを買っている自分がいかにも馬鹿のように思える。
病院で体調はどうですかと訊かれたので悪いですと答えたが、実際よくない。検査結果は問題ないがいつも若干貧血気味とは言われる。急に暑くなったせいなのか、日中はだるくて参る。今の自分はいかにも体力が歴然と落ちていて、路上で熱中症で死んでもおかしくない。もともと吸血鬼よろしく直射日光には弱いのだから。
今日は34度だったがスマホによると明日は26度。どこまでスマホが信用できるのかは分からない。そもそも、これを書いている今が既にもうその明日なのだ。