オラクル・ナイト、落差

5月11日、月曜日。

昨夜は寝床に入っても寒くて参った。わざわざ掛布団を夏用から冬用に戻したのにも関わらず、である。布団の外に出ている腕が冷えてどうにもならず、12時半ごろに早々に寝てしまった。それで今朝は9時前に起きたので8時間以上寝たことになる。

というわけでポール・オースター「オラクル・ナイト」読了。

考えてみればポール・オースターの小説というのはいつもお気楽な展開にはならないということをすっかり失念していて、終盤に近づくに連れて嫌な出来事がバタバタと起こるので後味悪かったら嫌だなと思いながら読んでいたのだが、なんというか、そのまま話は押し切られるのだけれどオースターのストーリーテリングの妙でひたすら失意を覚えるということにはならない。凄く主観的な語り口(すべて主人公の主観から成る)なのだが、そこには筆者であるオースターの客観的で冷徹な視点が常にある。そういう意味ではテクニカルに持って行かれている(つまり技術的に上手に書かれている)という感覚はあるものの、それが不快ではない。むしろ心地よい。

「オラクル・ナイト」を読み終わってしまったので何度も中途で挫折しているジョイス「ダブリンの市民」の続きを読み始めたのだけれど、やはり何度読んでもどうしてもジョイスのよさが分からない。物語として面白いと思えない。一編読み終わるごとに首を傾げてしまう。「ダブリン市民」に関しては麻痺という表現がよく使われているけれど、それならそれでもいいのだがその麻痺が面白いと思えないのである。

今日は午後の1時に病院の予約が入っており、1時間前に血液検査を受けなければならないので大体12時ごろには行かなければならない。少々時間が空くので、午前中は先日裏の家の人からいちゃもんがついた、脇の私道にはみ出している木の枝を切った。ホームセンターで買ってきた柄の長い植木ばさみを使うと案外楽に出来たが、朝方昨日の続きで寒いと思っていたのに外は思いの外暑く、30分ほどの作業ですっかり疲労困憊してしまった。

前述のようにジョイスに煮詰まったので、先般から気になっていた宮部みゆきの「ソロモンの偽証」を買って読もうと少々早めに出発、本屋に立ち寄ってとりあえず1巻だけ(文庫で全6巻ある)買った。

病院に着いたのは12時を回っていた。そのせいもあるのか、今日は血液検査後に診察まで随分と待たされた。「ソロモンの偽証」を読んで待っていると、突然大きな音がしてびっくり。見ると、吹き抜けになっている玄関ロビーの2階から、売店の店員が大きなプラスティックケース(パンとか入れる奴だ)を誤って落としたようだ。たまたま真下に人がいなかったからよかったようなものの、誰かいたら間違いなく怪我していたと思う。

ようやく順番が回ってくると、血液検査の結果は医者曰く「すごく」いいですね、ということで数値的にはまったく問題ないということで、診察はあっという間に終わる。ということはこのところの体調の悪さは一体なんだろう(医者にもそれは訴えた)とは思うのだが。

帰り道にバイパス沿いのビッグボーイというアメリカの片田舎によくあるようなファミレス(だと思う)で何年振りかでバイキングスタイルのランチを食べる。バイキングとは言ってもお代わりをする元気も食欲もなく。ついでにゴミ処理場にも寄って、午前中切った木の枝を詰めたゴミ袋(2袋)を出す。

帰宅したのはもう4時近かった。病院に行った昼間は外は異様なほど暑く感じたが、帰ってみると家の中はひんやりするぐらい涼しい。かように、外と家の中の体感温度も随分違うのだけれど、今日は最低気温と最高気温の差がかなりあって寒暖差が激しい。明日も予報によると最低気温が6度、最高気温が24度とかなり落差がある。日中あれだけクソ暑いと思ったのに、夜はまた寒いくらいに感じる。この辺も近頃の体調の悪さに繋がっているのかもしれない。一番大きいのは体力のなさだとは思うのだが。

今日の相場は様子見。大体ほとんど動かなかったし。

今日の母はまだ調子がよくない。話の受け答えが少々頓珍漢になるところがある。急に涙ぐみそうになったり、まだちょっと不安定だ。

夕食後の夜、BSで映画「ゼロの焦点」(2009年の方)をやっていたので途中からながら見をしたのだが、そもそも映画としての演出がこれ以上ないほど酷いというのもあったけれど、これでは犯人の動機の構造が「砂の器」とまったく一緒じゃないかと松本清張に対してかなりの失望を覚えた。

それにしても読み始めた「ソロモンの偽証」、果たして途中で挫けずに6巻読み通せるのだろうか。

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