残像

6月9日、金曜日。

この夢を見た背景に、レコード会社時代に自分の担当じゃなかったけど、見かけはアイドルっぽいがセンスのいい曲を書くシンガーソングライターの女の子がいてどうやっても売れなかったのだが、その子の名前がどうしても思い出せない、ということがあった。夜になってまた思い出し、まったく名前が出て来ないのでダメ元で「1994 ソニー アーティスト」でググってみた。すると、91年のオーディション出身者としてその子の名前があった。くま井ゆう子だった。いやー、ネットってホント凄い。当時会議でくま井は曲はいいのになんで売れないのか、っていうことがよく議題に上がっていた。宣伝担当曰く、どうもB級アイドルとして捉えられているという話だった。

正直言ってもう思い出せないものだと思っていた。なんていうか、ネットって電脳っていうくらいだから脳細胞に似ている。すっかり忘れているようで、微かな残像だけが残っているものは探せばどこかにその欠片はあるのだ。映画「ブレードランナー」でハリソン・フォードが写真をクローズアップしていって微かに鏡に映った女性の姿を見つけるのを思い出す。そんな風に僕らの記憶はネットのどこかにひっそりと潜んでいる。だから例えば、僕だっていつかは誰かに見つかるのだ。たぶん。

カテゴリー: 未分類 パーマリンク