酷い話

9月2日、土曜日。

9時34分に起きてはみたものの、昨夜寝たのが4時ごろだったのでそもそも睡眠時間が足りない。案の定、朝食後も眠くてどうにもならず、気がつくと「眠い」ということしか頭に浮かばなくなった。結局ギブアップしてちょうど足りなかった分ぐらい昼寝。なんだか時差ボケの調整でもしているかのようだ。昼寝から目が覚めて一応眠気は取れたっぽいのだが、気がつくとまったく何もする気がなくなっていた。確かに身体が妙に脱力している感じはしたものの、まさに人生始まって以来というぐらい何もする気がない。これはどうしたことかと考えるに、どうやら抑うつ状態に突入したようだった。こういうときであればなんとかかんとか業務に行くというのが自分の慣例であるが、それすらも出来そうになかった。何をしても苦痛に思えるような気がした。なんだかまったく力が入らない。その後夕方まで何をしていたのか、あまり記憶にない。ああ思い出した、先日の代表のオーストラリア戦を録画したものを見始めたのだが、それすらも苦行に思えた。一時停止しては台所に行って煙草を吸う。本当に煙草を吸うぐらいしか自分には出来る気がしなかった。かといってここでまた寝てしまってはどうにもならなくなるという危機感ぐらいはあった。それが僕をまた茶の間に押し戻して、また試合を再生させた。

結局試合終了までようやっと見たところで母のところに面会に行った。帰りがけにスーパーに寄ってなんとか買い物をする。帰宅後、しばし煙草を吸って放心するも、賞味期限の関係で今日は納豆を食べなければならないので夕飯。夕食後、まだ比較論で行くと気分的には鬱屈していて何をしたものかと思う。ちょっとギターを弾いてみても憂鬱になるからどうしようもない。そんなわけだから昨日から読み始めたノンフィクション、豊田正義「消された一家 北九州・連続監禁殺人事件」の続きを読む。いつもなら寝床でしか読まないのだが、他にすることが思いつかなかった。

これがもちろんまだ途中までしか読んでいないのだが、とんでもなく酷い話。今までいろんな酷い事件のノンフィクションを読んできたが(例えば「桶川ストーカー殺人事件」とか「埼玉愛犬家連続殺人事件」とか)、これほど酷い話は読んだことがない。本物のサイコパス、本物のサディストはここまで酷いのかと慄然とするばかり。もう読んでいて本当に胸糞が悪くなる。俺はなんでこんな酷い話を読まなければならないのだろう、と思う。想像を絶する世界。人間はここまで酷いことが出来るのかという。正直、これはとても人に薦められない。人間の暗黒面とはいっても、さすがにこれは知らなくてもいいと思う。日本の連続殺人鬼の中には、小平義雄とか大久保清とか、それこそなんのためらいもなく人を殺す人間が確かにいた。しかしながらたちの悪さという点でこの松永太ほど度を越した人間はいなかったのではないか。しかも自分の手は一切下していない。だからこそ酷い。まさにモンスターと言うしかない。生来の嘘つきで自分でついた嘘を自分で信じ込んでしまうという辺りはロス疑惑の三浦和義を想起させるが、松永の凶悪さは比較にならない。

まあそんなわけで気が滅入っているんだけど……最後まで読むしかない。まだ犠牲者は一人目で、あと六人いるんだけど。事実は小説より奇なりというけれど、それにしても。

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