秋刀魚の味

8月15日、土曜日。

終戦記念日の今日、皆が黙祷している正午、僕は何やら夢を見ていた。

朝、ドアチャイムの音で起こされた。といっても9時を回ったところなので文句を言えた筋合いではない。階下に降りていくと町内会費の集金だった。幼馴染である隣組長が一瞬ぎょっとした顔をしていたが、その後顔を洗いに洗面所に行くと、浴衣の胸の辺りがはだけていたのでそのせいだろう。

昨夜寝たのが3時ごろだったせいもあって、朝食後あくびを連発、眠くてしょうがない。それで11時過ぎに書斎のソファでタオルケットを被って昼寝をかましてしまったのだった。目が覚めるともう1時半を過ぎており、2時間半も昼寝してしまった。朝方から午前中は雨が降っていたのに、昼寝から目が覚めてみると外はすっかり晴れて青空、なんか別の世界にワープしたような気になる。例によって昼寝後はだるくて力が入らず、体調が悪い感半端ない。

午後はDVDで池田敏春監督「人魚伝説」を見る。この映画は黒澤明作品を除く日本映画の自分的ベスト3に入る作品なのだが、見るのは10年ぶりかそれぐらい。ちなみにベスト1は原田眞人監督「KAMIKAZE TAXI」、ベスト2は根岸吉太郎監督「遠雷」。久しぶりに見るとタイトル通り伝説的なカルト映画になってしまったこの作品、随所に映像的なアイディアが溢れている。ただ、今見るとCGの進化した現在ならもっとラストの殺戮シーンがリアルなものになっていただろうなとか、音響効果のアフレコがちょっと残念とかいろいろある。ただ、公開時の1984年ということを考えると、当時の邦画としては斬新な作品だった。監督の池田敏春は僕と同じ山形県出身で、この映画のロケ地である志摩町の海岸で水死体で発見された。自殺と言われている。池田は「死霊の罠」とかときおり才気を見せる作品を発表したもののムラがあって凡作を連発するようなところもあり、総じて不遇だった。

夕方近くなって町内の叔母(父の姉)がいとこを連れてやってきた。年初に背中を骨折して先日母のところを訪れたときは杖をついていたということだったが、今日は杖なしで普通に歩いていた。ずっと父の2つ上だとばかり思っていたのだが、今日話を聞いていると3つ上で今年88歳ということだった。帰った後に仏壇を見ると、また叔母は仏壇にお金を置いていった。開けてみると1万円も入っていた。先日僕が骨折の見舞いを持って訪ねたときは頑として受け取らなかったのに、こちらはもらってばかりでなんか借金でもしているような気になる。

例によって6時半過ぎに母のところに行き、帰宅後、夕飯に昨日スーパーで買ってきたサンマを焼く。何しろ魚を焼くのは2年ぶりなので、無駄な気合いを要する。大根をおろすのにも気合いがいる。しかし実際にやってみると魚を焼くのって拍子抜けするぐらい簡単(当たり前)だった。それで、食べてみると久々に食事が美味しいと思った。このところ歯がボロボロなせいで何を食べても美味しいと思えなかったのだ。レトルトでも缶詰でも冷凍でもない食事がこれほど旨いとは。感銘を受けた。つまり、こういう当たり前の食事すら最近は摂れていなかったということでもあるのだが。

その後、なんとなくhuluでデヴィッド・フィンチャー監督「ゾディアック」を途中から(数か月前にそこまで見ていたのだがほとんど忘れていた)最後まで見た。デヴィッド・フィンチャーの映画ってトーンが暗い印象があるが、基本的に後味が悪いか終わり方が消化不良かのどっちかだなと。この映画の場合は後者だった。

夜も更けてからレスターに移籍した岡崎がプレミア初ゴールを決めた。動画で見るといかにも岡崎らしいゴールだった。結果出すの早いなと思う。

さすがに2時間半も昼寝をすると一日が終わるのもあっという間だ。いくらお盆休みの土曜日とはいえ、こんなことでいいのかと思う。だがそんな風に思っている間に一日は終わってしまうのである。

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